たけのこは日本人にはとても馴染み深い食材の1つであり、旬の時期でなくともどこのスーパーにもおいてありますし、和食や中華料理はもちろん最近では洋食にまで使われるようになってきましたが、ありふれた食材にしては意外と多くの人が知らないこともあったりする食材でもあります。
例えば「生のたけのこはどう扱えばいいのか?」を知らない人は結構いますし、「どうなったら悪くなっているのか?」や「美味しいたけのこの選び方」も知らない人だっているものです。
しかし、それら以上に意外と知らないたけのこのこととして話題に上がることがあるのが今回の記事のタイトルにも使わせていただいた「たけのこの隙間に付着していることがある白いカビのようにも見える何か」についてです。
そしてこの「白い粉のような何か」こそ実はたけのこの美味しさに非常に大きく関わる物なのですが、そのことはより多くの方が知らないことでしょう。
今回はそうしたたけのこの味に関わる意外と知らない人もいる特性についてご紹介する『たけのこの白い粉は何?カビとは違うの?』と言う記事を書かせていただきました。
たけのこについている白い粉の正体をはじめ、意外と知らない人も多いたけのこのことに興味があったりはしませんか?
たけのこの白い粉は何なのか?
まずはこの記事のタイトルにも使っています「たけのこの白い粉は何なのか?」と言うことからお話させていただこうと思います。
この白い粉簡潔に結論から言いますと「白カビ」と言う方もいらっしゃるのですが、実際はカビではなく、「チロシン」と言う不溶性のアミノ酸が固まった物。
そのため食べても体に特に問題はありませんから、固まっている物を食べた時の味や食感、口当たりを気にしないのならば別に取り除かなくとも問題はありませんが、アクとえぐ味の素の1つなため美味しく食べられるかどうかはまた別です。
何故この成分が白い粉状になるのかと言いますと、このチロシンと言う成分はもともと冷たい水には溶けにくい物質なのですが、長時間アルカリ性の水につけっぱなしにしたり熱を加えることにより溶け出すので、たけのこを茹でるとたけのこに含まれているチロシンが溶け出し、それが時間の経過で冷め溶け出した分が再度たけのこの隙間などで固まり白い粉となっているわけです。
こうしてたけのこの白い粉の正体を説明しますと「じゃあ食べられはするんだ」と言うことに続いて結構な人が「じゃあたけのこは茹でないで生のまま置いておいた方がチロシンが固まらないから健康に良く美味しく食べることが出来るの?」と思うかと思うのですが、それは違います。
なぜならたけのこを生のまま放置してしまうと味がかえって大幅に落ちますし、よほど新鮮でない限りは下処理をせずに食べることは出来ないほどたけのこはアクが強く、加熱が不十分であると体に異常が出る恐れもあるからです。
そのため水煮になっていないたけのこは必ず直ぐに下処理をしなくてはいけないのですが、水煮の方があまりにも一般的過ぎて生のたけのこの扱い方を知らない人も今では多いもの。
そこで続いては「生のたけのこはどう扱えばいいのか?」ということについてをご紹介します。
生のたけのこはどう扱えばいいのか?
春先のたけのこが旬の時期ともなると生のたけのこをスーパーで目にすることもあるでしょうし、あるいは誰かからいただくこともあるかもしれませんが、そうした時に水煮のほうが当たり前になっているため、生のたけのこはどう扱うものなのかを知らない方も少なくないかと思います。
ですのがそうした生のたけのこが手に入った時の大事なことはたった一つで難しいことはありません。
具体的に何をしたら良いのかと言いますと「可能な限り早くアク抜きすること」だけです。
まずアク抜きが必要な理由として多くはなくともたけのこには仮性アレルゲンの「アセチルコリン」やアジサイや梅などにも含まれている「青酸配糖体」と言う毒素があるからです。
この成分は茹でさえすれば簡単に無害化できるのですが量を摂取してしまうと皮膚が腫れたりかゆくなったり、下痢や嘔吐などの体への害を起こす恐れがあるので下茹でした方が良いのです。
またな何故「直ぐに」なのかと良いますと、たけのこは「たけのこを掘りはじめたら、お湯をわかしておけ」と言われるほど少しの時間経過でえぐ味が強くなるからです。
この時間経過でえぐ味が強くなる理由が上記の「たけのこの白い粉は何なのか?」でご紹介したたけのこに付着する白い粉の正体チロシン。
このチロシンが時間経過とともに酸化したり酵素分解され「ホモゲンチジン酸」と言うものに変わっていくのですが、この成分がとても苦味やえぐ味を持っているのです。
なのでこのチロシンが変質するのを防ぐため可能な限り可能な限り早くアク抜きすることが生のたけのこが手に入った時求められます。
具体的なたけのこのアク抜き方法としては以下のような感じ。
- 皮を数枚剥がし、水洗い
- タケノコの「トンボ(頭の部分)」を5cmほど斜めに切り落とす
- 頭から縦に一本切り目を3分の1程入れる
- タケノコがひたひたになるぐらいのお湯を沸かし、米ぬかをひと握り、唐辛子を2~3本入れる
- 弱火で1時間ぐらい茹でる
- 一番太い根元部分に竹串が刺さるようになったら火を止めて冷ます
- 冷めたら残った皮を剥いて水で良く洗う
- 食べるまで1時間ほど水に晒す
ちょっとめんどくさいと思う人もいるかと思いますが、これが最低限生のタケノコを食べる時にするべき具体的なアク抜きの処理です。
この時のポイントは以下の三つ
- たけのこの皮を残したまま茹でること
- 米ぬか(または米のとぎ汁)を入れること
- 茹で上がっても直ぐに使わず冷まして水に晒すこと
どうしてなのかと言いますと以下の通り
たけのこの皮を残したまま茹でること
たけのこの皮には「亜硫酸塩(ありゅうさんえん)」と言う成分が含まれており、この成分がタケノコの繊維を柔らかくしてくれますので、皮は全部剥かずに茹でた方が適度な歯ごたえのある美味しい茹で具合に仕上がります。
米ぬか(または米のとぎ汁)を入れること
ここが3つのポイントの中でも最も重要です。
まず米ぬかを入れることで茹で汁がアルカリ性になり、たけのこのえぐ味の原因である2つの成分「シュウ酸」と「ホモゲンチジン酸」がたけのこの外に流れ出やすくすることが出来、米ぬかに含まれているカルシウムが「シュウ酸」を中和することで、えぐみを感じにくくしてくれます。
そしてそれ以外にも米ぬかに含まれるでん粉がたけのこのアクを吸着してくれたり、脂肪分やアミノ酸がたけのこの繊維を柔らかくし、旨味を引き出す作用もあるのです。
また米ぬかがない時は、成分的には劣るので効果も落ちるのですが、米のとぎ汁や米をそのまま加える方法もあります。
茹で上がっても直ぐに使わず冷まして水に晒すこと
アク抜きをしても下茹でしたばかりのたけのこはまだアクやえぐ味がかなり残っていることがあり、その抜け切らなかった成分を水に晒すことで更に抜きます。
正しこの時に焦って熱いまま水道水などで冷やしてしまうと風味が損なわれるだけでなく、アクがたけのこの中に残ってしまうので一度冷ましてから晒すのがポイントです。
以上のことをしますと生のたけのこも美味しく食べることが出来ます。
しかしやはりどれだけ丁寧に下処理しても元があまり良くなければ美味しく食べることは出来ませんし、下処理した後も放置しすぎれば美味しくなくなってしまいます。
そこで最後に美味しいたけのこの選び方についてとその逆のどうなったら悪くなっているのかについてをご紹介させていただきます。
美味しいたけのこの選び方とどうなったら悪くなっているのかのポイント
美味しいたけのことはどんな物でどこで見極めたら良いのかと言いますと以下のポイントです。
- 穂先が黄色でまだ開いていない
- 皮の色が薄く、しっとりと湿っている
- 切り口が白く瑞々しい
- 根元の赤いぶつぶつが少ない
何故これらがポイントとなるのかと言いますとたけのこの成長具合と鮮度が分かるからです。
まず穂先の部分を見て見ましょう。
ここがたけのこの成長具合を一番見分けやすく、この部分が黄色でまだ開いていない物がより美味しいたけのこです。反対に黒っぽいもの、または濃い緑色で開いているものはかなりえぐ味があると思ってください。
外皮の色と湿り気にも注目。
土の中にほとんどがある状態のたけのこならば皮の色が薄く、しっとりと湿っているのでここでは成長具合と鮮度が分かります。
反対に皮の色が黒に近い茶色であればあるほど育ち始めており、皮が乾いているものほど掘ってから時間が経過している可能性が高くなります。
切り口、根元でも美味しいたけのこかどうかが分かります。
切り口が白く瑞々しい感じのするものが当然収穫して間もない物であり、逆に切り口が茶色くなってぬるぬるしたものは古いたけのこですし、根元のぶつぶつが少ないほうが成長する前であり、アクがまだ少ないからです。
これらを気にして出来るだけ美味しいたけのこを選ぶとやはり同じ下処理をしても味に差が大きく出ますし、白い粉ことチロシンの固まりも出来にくいです。
また下処理をした後も出来れば早く食べた方が当然美味しいので、以下のどうなったら悪くなっているのかの見極めポイントが見つかる前に食べきることをおすすめします。
悪くなったことが分かるポイント
- 根元のいぼいぼが変色
- 触った時に弾力がなく柔らかい
- 表面がぬるぬるする
- 異臭がする
根元のいぼいぼのところが青紫や青黒くなってくるのは、ブルベリーのポリフェノールで知られるアントシアニンがタケノコの劣化に伴い反応して起こる変化であり、かなり味が落ちてきているサインです。
この状態が見えてくるとえぐ味も多くなり、チロシンの白い塊も中に大量に発生していたりして美味しくはなくなっています。
続いて起こりやすいのが弾力を失うと言う変化。
柔らかくなってくるのは水分が抜けてきて起こる変化で、食感が失われつつありタケノコが腐り始めるサインです。
これ以上進んで来るともう食べられないものと思ってください。