うま味調味料と化学調味料の違いとは?安全性はどうなの?

みなさんは、『うま味調味料』と『化学調味料』とい言葉を聞いたことがおありだと思いますが、その違いについてはご存じでしょうか?

化学調味料の方は、“化学”という言葉が付いているので、なんだかちょっと怖いような気がする方もいらっしゃるかもしれません。

では、実際にどのような違いがあるのでしょうか。

今回は、『うま味調味料と化学調味料の違い』についてご説明したいと思います。

うま味調味料と化学調味料の違い

うま味調味料は簡単にいうと、食品から化学の力でうま味を抽出した調味料です。

カツオや昆布からダシを取るにはそれなりの時間が掛かりますが、科学的な進歩と研究の結果、それらの食品から「うま味成分」が発見され、このうま味成分だけを精製したものが「味の素」などのうま味調味料です。

昭和30年代、NHKの料理番組内で味の素が登場した際、公共放送である立場上、商品名が言えないので、代替措置として「化学調味料」と呼びました。

これが化学調味料という言葉が生まれた経緯であり、その後、一般にも広がりました。

つまり、うま味調味料と化学調味料に違いはなく、実は同じものなのです。

しかしその後やって来たグルメブームや健康志向などで、“化学”が付いていることによる化学物質のイメージや天然由来ではない食品を連想させるとした消費者の抵抗感を考え、1980年代以降は現在の日本うま味調味料協会が、化学調味料に代わる呼び名として「うま味調味料」を使用するよう提唱し、現在に至っています。

加工食品においては、原材料名の欄に「アミノ酸等」と書かれている場合が多いようです。

うま味調味料とは?

そもそもうま味調味料の「うま味」とはなんでしょう?

日本料理ではむかしから昆布ダシが使われて来ましたが、なぜ昆布からおいしいダシが取れるのかは解明されていませんでした。

人には酸・甘・塩・苦の4つの味覚に加えて「うま味」も存在すると提唱していた東京帝国大学(現・東大)の池田博士が、1908年に昆布からグルタミン酸を取り出すことに成功します。

このグルタミン酸が昆布ダシのうま味であることを発見。これをグルタミン酸ナトリウムに精製し、調味料として1909年に商品化したものが世界で初めてのうま味調味料、味の素です。

昆布に含まれたグルタミン酸だけでなく、かつお節に含まれたイノシン酸や干しシイタケに含まれたグアニル酸が発見され、これらがうま味であることが解明されました。

更に2002年には人の舌の表面に、グルタミン酸に反応する受容体が発見されたことにより、第5の味覚としてのうま味が世界的に脚光を浴びました。

日本料理の基本であるうま味は「UMAMI」として、今や世界共通の用語として使用されています。

うま味調味料の安全性

化学調味料不使用を謳う飲食店が登場したり、中華料理を食べて体調が悪くなる「チャイニーズ。レストラン・シンドローム」の原因がグルタミン酸ナトリウムを使っているからだというような俗説が流れたりして、うま味調味料(化学調味料)に対してからだに悪いイメージを持たれている方もいらっしゃるかもしれません。

たとえばグルタミン酸は、人のからだを構成するアミノ酸の一つで、私たちの体液などにも含まれています。

食品として食べれば、体内で代謝、排出されますので、からだに蓄積される心配はありません。

うま味調味料の代表でもある味の素などの原料はサトウキビです。

サトウキビから取り出した糖蜜に発酵菌を入れ、微生物の力で発酵させた、いわゆる味噌や醤油と同じ
発酵法でグルタミン酸ナトリウムを作ります。

このグルタミン酸ナトリウムは、食品衛生法の規定で食品添加物の調味料に分類されています。

同法が定めている厳しい安全性試験をすべてクリアしていますし、国際的にも安全性が評価されています。

更にこの安全性は一度だけでなく、繰り返し確認されるものなので、うま味調味料は安心して使える商品といっていいでしょう。

もちろん、どんなものでも摂り過ぎは良くありません。

塩でも、少しかければ料理の味が美味しくなりますが、かけ過ぎはからだに良くないですよね。

うま味調味料も料理の隠し味程度に使う分には、なんの問題もないですし、昆布やカツオ節からダシを取っている時間のない忙しい方に、これほど重宝なものはありません。

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