ユリ根はそこまで日常的に食べるものではありませんが、おせち料理に使ったり、伝統的な和食の材料でもあり、意外とスーパーなどでも時期によっては簡単に手に入るもの。
しかしあまりにも普段使わない食材であり、多くの人は長持ちさせるための保存方法や美味しく食べられる大体の保存期間も知らないでしょうし、どうなったら食べないほうが良いのかだとかの悪くなった時の特徴も知らない人もいるでしょう。
そこで今回はユリ根の保存方法や保存期間の他にも、芽が出たユリ根は食べられるのかどうか?一見すると枯れてしまったように見えるユリ根はもう食べられないのか?などの食べられなくなるポイントまでを解説した 『ユリ根の長持ち保存方法と保存期間!芽が出た後は食べられるの?』 と言う記事を書かせていただきました。
少々長めの記事になりますが、その分色々なことまでしっかりと解説させていただきますので是非御覧下さい。
ユリ根を長持ちさせる保存方法と保存期間
まずはユリ根の主な保存方法と保存期間をご紹介します。
- 常温でも最大で1ヶ月
- 冷蔵庫でそのままなら平均1週間、処理をして最大で3ヶ月
- きちんと下処理をすれば冷凍で最大1ヶ月
御覧の通りユリ根はかなり長持ちさせることが出来る野菜です。
しかしこれはあくまでも長持ちさせるような工夫をした上での「最大」であり、買って来てからそのままにした場合、保存環境が悪いと3日前後で傷み始めることもありますので、しっかりとした保存方法を覚えておかなければ直ぐ駄目にしてしまうこともありえます。
また詳しいことは後ほど書かせていただきますが、ユリ根の美味しさはそのほとんどが食感に由来しておりまして、その食感を損ねてしまいやすい冷凍庫での保存方法は美味しさの観点から見ると特定の場合以外ではあまりお勧めできません。
それでは次は詳しいそれぞれの保存方法について御説明します。
ユリ根を常温保存する場合
ユリ根は常温保存でも保存環境次第では1ヶ月ほど長持ちするのですが、環境変化全般に弱い食べ物であり、その中でも高温と多湿には特に弱いので、夏場や梅雨時は常温保存は避けることをおすすめします。
それ以外の時期でユリ根を常温保存して最大に長持ちさせることが出来る方法のポイントも如何に環境の変化から守るかでして、以下の方法が特に長持ちさせるのに適しています。
- おがくずに入った状態で売られているものをその「おがくずごと」買う
- おがくずと一緒にまとめて新聞紙やキッチンペーパーで包む
- ダンボールや紙袋に入れ、しっかりと口を閉じる
- 風通しの良い冷暗所で保存
ユリ根は実は植物の根ではないのですが、長持ちさせる保存方法の基本は他のイモ類や根菜を長持ちさせたい時と同じです。
もちろんおがくずでなく、土の中に埋めても構わないのですが、ユリ根の場合は大体おがくずに入った状態で売られているため、そのままおがくずを利用する方法をここではご紹介させていただきました。
売られている状態がおがくずに入っていないものの場合は新聞紙やキッチンペーパーに包み、ビニール袋に入れて保存することで多少長持ちさせることが出来ますが、その場合1週間ほどで悪くなってくることもありますので、出来れば買う段階からしっかりと保存状態の良いものを選ぶようにしてください。
ユリ根を冷蔵庫で保存する場合
基本的にユリ根の旬は11~2月と冬であり、最適保存温度も低めであるため、冷蔵庫での保存が長持ちさせるためには最適です。
おすすめの保存方法は上記した【常温保存する場合】でご紹介した方法と全く同じでして、おがくずの中に埋めておけば最大で3ヶ月ほど、新聞紙に包んでビニールに入れて保存した場合は最大で1ヶ月ほど長持ちさせることが出来ます。
またおがくずに埋めておく場合は特に問題はないのですが、新聞紙に包んでビニールに入れて保存する場合は冷蔵庫を頻繁に開閉することで起きる結露により、ビニールの中に水滴が発生し、ユリ根を包んでいる新聞紙やキッチンペーパーが湿る恐れがありますので、5日に1度ぐらいは様子をみて交換することをおすすめします。
ユリ根を冷凍庫で保存する場合
ユリ根を一応冷凍庫で保存することも出来ます。
しかしユリ根は既に触れたように味や香りなどよりも食感が美味しさの大きな比重となっておりますので、その食感を損ねてしまいやすい冷凍庫での保存は、美味しさの上ではかなりデメリットですし、保存期間的にみてもおがくずの中に埋めて冷蔵庫で保存すればかなり長持ちするものなので、あまりメリットがないです。
ただし、水洗いして鱗片を一枚ずつばらしてしまっている場合は冷凍してしまったものが一番長持ちしますので、ある程度の塊の状態でなければ冷凍保存した方が良いということも同時に覚えておいたほうが少しでも美味しく食べることが出来ます。
冷凍庫で保存するときのおすすめの方法は以下の通り
- 外側から1枚ずつ鱗片を丁寧に剥がす
- 一定以上剥がしたら根の部分を切り落とし全部バラす
- バラした鱗片を丁寧に洗う
- 予め塩を加え沸騰させた熱湯にいれ30秒ほど下茹でする
- 水に入れ直ぐに冷まし、水気をしっかりとふき取る
- 1つずつアルミホイルに包むか、重ならないように金属トレーに乗せ、素早く冷凍
- 凍ったらジップロックに入れ出来るだけ空気を抜いて冷凍保存
これが出来るだけ食感を失わず冷凍する方法でして、最大で1ヶ月は安定して美味しく食べることが出来ます。
しかし少しでも茹で時間が長すぎたり、冷凍している期間が長すぎると解凍すると中の水分が溶け出してかなりスカスカになり、味が大きく落ちてしまいますので、美味しくなくなってしまうリスクは結構高いです。
解凍したものを食べる時には茶碗蒸しの具や煮て食べるなら出来るだけ低温で半解凍して使う方が味が劣化しにくいのですが、そのまま蒸したものを食べたいとか揚げて食べたい場合には自然解凍よりもレンジで一気に解凍し、出てしまった水分をふき取って使った方が良いです。
以上のことがユリ根のそれぞれの基本的な保存方法のコツと保存期間です。
では主な保存方法と保存期間のご紹介を終えたところで、次はどうなったら食べられなくなるのかをご紹介します。
ユリ根はどうなったら食べられなくなるのか?
元々関西地方以外ではあまり食べられていないユリ根ですからどうなったら食べられなくなるのかが分からない人も多いかと思います。
そこでここではユリ根がどう劣化していくのかをご紹介します。
ユリ根が劣化していく過程
- 根・芽が伸びてくる
- 紫色に変色してくる
- 緑色に変色してくる
- 口の部分に穴が開く
最初にどうなったら悪くなっていくかについての前に、ユリ根は外側が駄目そうに見えても中が無事であると言うことが多いことを覚えておいて欲しいです。
これはユリ根が外側の鱗片1枚1枚それぞれから根や芽が伸びたりする変化をし、外から順番にダメになるので外が食べれなくとも、中まで剥けばまだ食べられる状態のところがあることが多いからです。
では話を戻しまして悪くなったことが分かるポイントを少し細かく説明させていただきます。
まずユリ根は玉ねぎと同じようなものなので根や芽の部分が伸び始め栄養と水分が失われ始めます。
もちろんこの次点では根や芽の部分が余程長く伸びてしまっていなければ、その部分を切り取れば普通に食べることが出来ます。
この他には紫色に一部が変色してくるのですが、これはまだ酸化し始めの段階であり、多少味は落ちますがまだ食べられる状態です。
この次になり緑色の変色した部分が多くなってきますとホクホク感が失われ、かなりエグ味が出てきてそろそろ美味しくなくなります。
この段階を超えてきますと鱗片を折った所である「口」の部分に穴が開いているように見えるものが出てきます。
これは中の水分がなくなってしまい、繊維の隙間さえも見えてしまっている状態でして、もうこの状態ではその鱗片は食べないほうが良いです。
最後にこの他の変化で食べないほうが良い変化をご紹介します。
ユリ根の絶対に食べないほうが良い状態
育ちすぎたユリ根には毒があると言う都市伝説もあるのですが、ユリ根には人間が食べて特別毒になるような毒は存在しませんので注意すべきは以下のような変化をしてしまった場合です。
- 表面の一部が溶け出している
- 異臭がする
- 表面に白いふわっとしたものが付く
- 根の部分を切り落とした時、切断面がやたらとネバっとする
どの状態も大概の人が食べないような変化だと思いますが、表面にふわっとした白いものがついた時にその鱗片だけ食べなければ良いやと食べてしまう人がいるのでここだけは注意。
この白いのはカビでして、表面的なところだけでなく既に内部まで繁殖してしまっている恐れがあるので絶対に食べないようにしましょう。