みりんって一体どんなものだか「ちゃんと」ご存知ですか?
みりんと言う調味料自体やその味を知らない人は日本人には殆どいないとは思いますが、そもそも料理に使うとどんな違いや出来にどんな効果があるものなのかや、どんな成分で出来ているかは知らない人もいるでしょうし、健康に良いものなのか良くないものなのかなんて気にしたことがない人は沢山いるでしょう。
また最近では「みりんの使い方として何が正しいのか?」とか「みりんを使うとどんな効果があるのですか?」と言う話だけでなく、「みりんの成分は健康に良くない」とか「みりんは飲むと健康に良いらしい」なんてことも言われているようで、以外とみりんと言う調味料がどんなものなのか知られていないように感じます。
そこで今回はそんな日本では比較的ポピュラーであるはずのみりんと言う調味料についての「みりんってどんなものなのか?」から「どんな成分で出来ているのか?」、「正しい使い方」そして「健康に良い物なのか悪いものなのか?」などについてをご紹介させていただく『みりんの効果や成分と使い方!飲むと健康にいいの?』と言う記事を書かせていただきました。
非常に身近な調味料であるみりんとは実際の所どんなものなのかに興味はございませんでしょうか?
みりんとは一体どんなもの?
こちらでは名前も味も多くの人が知っているであろうみりんについての以外と知らない人も多いことを含め、改めて「みりんとは一体どんな調味料なのか?」についてをご紹介させていただきます。
まず始めに知っておいて頂きたいこととしまして、当記事で言いますみりんとは本みりんのことです。
本みりんの他にも今では、「みりん風調味料」、「みりんタイプ発酵調味料」などというみりんと言う名前のついた調味料があるのですが、これらと本みりんとでは成分が違い、当然効果にも違いが出るため、これらとは違うものであることを理解した上でここから先のことを読んでいただければと思います。
さて、ではそんな本みりんとはどんなものなのかと言いますと、蒸したもち米、米麹、焼酎もしくはアルコールを原料に、それを40日~60日間かけて糖化・熟成をさせることで作った混成酒の一種。
その為調味料としての印象が強いと思いますが、成分的に商品の分類としてはアルコール飲料と同じ扱いをされており、酒税法により酒税がかけられていたり定められた原料が決まっていたり、お酒類と同じく製造・販売免許が必要だったりする特徴があります。
アルコール度数は以外と高く14%前後あり、それに加えて糖類、アミノ酸、有機酸、香気成分などが含まれているため普通の料理酒を使った時のアルコールによる臭み消しや味の浸透を良くする効果だけでなく、深みのあるコクや味、照りやツヤが料理につけられる非常に便利な調味料です。
みりんの起源は実は定かではなく諸説あるそうで、正確な原産国や使われ始めた時期ははっきりとは分からないそうですが、日本では16世紀の戦国時代ごろにやや高価な甘みのある飲むためのお酒として登場してきて、19世紀の江戸時代の終わりの頃に醤油と合わせて使うことで、所謂「和風っぽい味と香りと色艶」を作る調味料としての地位を確立したそうです。
味や香りはちょっと独特で敢えて一言で言うならば「甘いアルコール」と言った感じですが、それ以上にコクや旨味の元となる成分がかなり印象強く、この調味料無しでは「似たようなものは作れても何か違う」と言う料理になってしまうことも多いです。
また以外と知らない人もいるのですが、アルコールやアミノ酸、糖分などの働きを発揮させるためや、そこそこのアルコール成分が含まれているため火を通す時間や火加減次第ではアルコールが飛びきらず、完成した料理が違う味や香りに感じることもあるため、みりんを使いこなすにはただ使えば良いというだけでなく、投入量やタイミング、火の具合も大事となってきます。
みりんに含まれている成分
みりんが一体どんなものなのかをご紹介させていただきましたので、続いてはではそんなみりんにはどんな成分が含まれているのかをご紹介させていただきます。
みりんに含まれている成分を大きく分けると以下の4つ
- 糖類
- アミノ酸
- 有機酸
- 香気成分
具体的に挙げるならば糖類ならグルコース、イソマルトース、オリゴ糖など、アミノ酸でしたらグルタミン酸、ロイシン、アスパラギン酸など、有機酸としては乳酸、クエン酸、ピログルタミン酸など、香気成分としてはフェルラ酸エチル、フェニル酢酸エチルなど、それぞれが複数種類含まれております。
このそれぞれの成分が複数種類含まれているというところがみりんの味や香りなどの特徴をうまく一言で表現できない理由でもあり、様々な調理を作る時や体内に摂取した時に様々な効果効能をもたらしてくれる理由です。
みりんの持つ料理への効果
いくつもの成分が含まれていることから料理に使った場合に得られる効果もまた1つではなく、以下の6つがあると言えます。
- 甘味をつける
- コクや旨味を足す
- 照りやツヤをつける
- 食材に味を染み込みやすくする
- 臭み消し
- 煮崩れを防止
どうしてこのような効果があるかと言うと以下の通り
甘味をつける
甘味と言っても一言にまとめているだけで、果物と砂糖と肉では甘味の種類が違うように、様々な甘味があると言う事は誰でもなんとなくは分かると思います。
ショ糖一種類の砂糖とは異なり、こうした甘味の素となる成分をみりんは複数含んでおり、ブドウ糖やオリゴ糖などの多種類の糖から構成されているため「やわらかで上品」とか「奥深くさっぱりとした」と表現される甘さをつけることが出来ます。
コクや旨味を足す
糖類だけでも複数種類含んでいますが、もち米から生まれるアミノ酸や有機酸なども複数含んでいますから、みりんを料理に加えるだけで深いコクや複雑な旨味と言われるものを料理につけることが出来ます。
また詳しくは後ほどご紹介しますが、一緒に調理した時に水分と一緒に加熱により外に出た他の成分を、再度材料の中に引き込む効果もありますから、他の食材のコクや旨味の元となる成分を合わせたものを材料の中に入れることができるのもその要因です。
照りやツヤをつける
砂糖に火を通すと照りやツヤがつくように、糖分を含むみりんは加熱することで料理に照りやツヤを出せます。
また液体であるため均一に表面を覆うように出来ますし、甘味成分がショ糖だけではないために砂糖だけや酒に砂糖を混ぜたものを使うよりも少量でしっかりと綺麗に照りやツヤを出せますし、ハチミツや砂糖を溶かした水や酒に比べてツヤを出すために塗って使う時に、最初に決めた料理の味付けのバランスが崩れてしまう可能性がかなり低いです。
食材に味を染み込みやすくする
みりんに含まれるアルコールは構成している分子が非常に小さく食材への浸透性に優れているため、一緒に含まれているアミノ酸や有機酸、糖類などをしっかりと早く食材へ染み渡らせることが出来ます。
また味の染み込みが早いだけでなく、水に比べて蒸発するのも早いですからそうした意味でも調理の時間短縮にも役立ちます。
臭み消し
アルコールが蒸発する時には魚や肉の臭みの成分をつれて蒸発するためにみりんを使うと臭み消しの効果があります。
もちろんみりん自体にも香りはありますし、糖分の加熱された時の臭いなども合わさることで肉や魚の臭みを取るだけでなく、食欲をそそるような匂いにすることが出来るとも言えます。
煮崩れを防止
みりんに含まれる糖分やアルコールが食材に浸透する時には味を染み込ませるだけでなく、その筋繊維を引き締めたり、デンプンが流れ出てしまわないようにするため煮崩れを防ぐ効果もあります。
もちろん表面をしっかりと固めるようなものではありませんので、みりんを使えばガンガン掻き混ぜても良いとか、強火でグツグツ長時間煮ても平気と言うほどの効果はありません。
みりんの持つ健康への効果
みりんにはいくつもの成分が実は含まれているために色々な料理への効果があるわけですが、その何種類もの成分を摂取することでの健康効果もあると言う話があります。
具体的に目に留まるような健康への効果としてあると言われるものは以下の通り
- 代謝を上げる
- 健康な肉体作り
- 白髪や貧血予防
何故こんな効果が得られるのかと言いますと以下のように言われています。
代謝を上げる
みりんには、ビタミンB1、ビタミンB6も含まれているためタンパク質と糖の代謝を上げる効果があるとされています。
健康な肉体作り
みりんに含まれているアミノ酸や糖類は筋肉を作ったり運動エネルギーを生み出し、ビタミンB群が含まれているためタンパク質が主成分の髪や肌・爪などの健康にも効果があると言います。
白髪や貧血予防
みりんには銅などのミネラルも含まれており、デトックス効果や鉄分の吸収を良くすることで貧血の予防効果や白髪の予防効果があると言われています。
ですが実際の所これらの効果はあるのかと言いますと、そもそもみりんに含まれているこうした効果をもたらす成分は他の食材に比べて多いとは言えませんし、そこまで料理に大量に使うことはありませんので、みりんを使ってもこうした健康効果を実感できるほどのことはまず無いでしょう。
みりんを飲むのは健康に良いのか悪いのか?
みりんは成分的にも健康に良いものが含まれていると言うことをご紹介させていただきましたが、そこから発展してなのか、「みりんは昔飲み物であった」とか「みりんはそこそこアルコール度数があるアルコール飲料として扱われる」と言う言う話から来ているのか、「みりんを飲む」と言う行為についても調べてみるとちらほら情報が見当たります。
そしてその情報の中には健康に良いという話と悪いと言う話が調べてみると両方出てくるのですが、これどちらが正しいかご存知でしょうか?
正解は『特別体に悪いことはないが、あえて飲んでも健康に良いと言うことはない』が正解です。
まずみりんに含まれている成分で、特別普通に摂取しても体に害になるような成分は含まれていませんし、そもそも味的に大量には飲めないでしょうからあえて大量に飲もうとしなければ特に悪いことはありません。
では健康に良い成分が含まれているんだから飲んだら健康に良いのかと言うとそんなこともありません。
なぜかと言うと先程も触れたように、みりんに含まれている健康効果をもたらすような成分は他の食材に比べて多いとは言えませんから、健康効果を実感できるほど飲もうと思ったらアルコールと糖分を大量に摂取しなくてはならないからです。
その為別に毎日コップ一杯飲んでも特に大きな問題はないのですが、特別美味しいものでもなく、健康に良いということもないのでよほど好きと言う方でなければ敢えて飲むのはオススメできません。
みりんの正しい使い方
最後にみりんの正しい使い方と言うものについて触れておきたいと思います。
とは言え別に「こうやって使わなくてはいけない」とか「こういう使い方は良くない」と言うことはありませんので、あくまでもみりんの特徴を活かすコツのようなものだけをご紹介すると思って下さい。
まず煮物についてですが肉や野菜は「最初にみりん、その後に煮立ってから甘味をつける調味料、しょっぱさをつける調味料で味をつける」のがオススメ。
しょっぱい味が染みやすいと言うのもありますが、しっかりとアルコール分を飛ばしたいと言う理由もありますし、長めに煮てしっかりと火と味を通しきりたい肉類の煮崩れ対策にもなります。
魚については砂糖をやや控えめにして気持ちみりん多めの量で「みりんを含む調味料すべて合わせて煮汁を完成させ沸騰させてから魚を投入」がオススメ。
煮魚で一番悲しいのは煮崩れしてぼろぼろになってしまうことと生臭さが残ることですから、短時間で上げつつも臭いをしっかりととるためにこの手順がオススメです。
そしてこれらにプラスして照りやツヤをプラスしたい時は仕上がりの直前にみりんを少々加え、強火でアルコールを出来るだけ飛ばすのがオススメです。
照りやツヤを出すために焼き物の仕上げに塗ったりする時は「余熱で暫く置くと火が通るぐらいまで焼き一旦火から下ろし、丁寧に塗り余分な分を落としてから中火で焼き直す」のがオススメ。
結構サラサラしていて更に直ぐ色がつくため強火で焼きながらムラ無く塗るのは腕がいりますし、弱火でやると丁度良い色合いになる頃には火が通り過ぎてしまう可能性があります。
もちろんあくまでもこれは基本的には、絶対の話ではありません。
最終的には実際にやってみて色々と好みややり易い方法で使っていただければ良いとおもいます。