くわいとは何かをご存知ですか?
日本では主におせち料理などで使われている食材で、若い方の中には食べたことはもちろん見たこともないと言う方も最近いらっしゃるようですが、縁起物であることはもちろん、以外と栄養もありますし独特の食感を持つことから料理によっては中々使える野菜です。
しかしこのくわいとは比較的良くおせち料理に使われることから味や食感、旬の時期はともかくとして、大概の人はそれ以外の例えば下処理の方法や食べ方、最適な保存方法やどのぐらいの保存期間大丈夫なものなのかを知らないでしょうし、「煮物、素揚げ以外のくわいの調理法は?」と聞かれて即答できる人はけして多くないでしょう。
そこで今回はそんな古くから日本で伝統的に食べられてきたくわいについてそもそも一体どんなものなのかと言うことから、下処理や調理法についてなどまでについてをご紹介する『くわいとはなんの芽?栄養や下処理と保存方法!』と言う記事を書かせていただきました。
かなり変わった見た目でインパクトがあるおせち料理につきものの縁起物であるくわいについて興味があったりはしませんか?
くわいとは?
まずはそもそもくわいとはどんなものなのかを知らない人もいると思いますので、そもそも一体くわいとはどんなものなのかを簡単に御説明させていただきます。
くわいとはオモダカ科の水生多年草であるオモダカの塊茎を食用とするための栽培品種であり、「田草」、「燕尾草」、「クワエ」などとも呼ばれます。
原産地は食用として改良したのは中国だそうなのですが、野生種は東南アジア地方が原産であるようで熱帯地方の気候に適しており、野生種は温帯から熱帯の地域にならば広く生息しているのですが、好んで食べるのは日本と中国のみだそうです。
12月になるとおせち用として良く市場に出回るため旬の時期は1月ぐらいなイメージがあると思うのですが、実際は9月頃から春先まで収穫の季節が続き、最も美味しい時期としては冬の終わり、2月半ばから3月頭にかけてだそうです。
食べ物として見ると見た目がとにかく独特で、芋から太い芽が一本突き出ている形状をしておりぱっと見「棒の刺さった芋」のようにも見えるほどで、そのかなり特徴的な見た目から縁起物として「芽が出る」と言う謂れを持ち、お正月のおせち料理には良く使われています。
食用とされる品種は日本で主に食べられている青藍色(せいらんいろ)でホクホクとしたユリ根のような食感を持つ「青くわい」か、淡青色でシャキシャキと言うかシャリシャリとした食感の「白くわい」ぐらいしかありませんでして、殆どの国では観賞用植物扱いです。
そんな扱いの通り、このくわいと言う野菜は特別美味しいものではなく、香りは特にありませんし、味は一応ほろ苦いようなほんのり甘いような味があるのですが、調理過程で使う調味料にほぼまける程度の淡い味でして食べ方によっては全く味を感じれないものもあり、余程素材の味を活かした調理方法でない限りは食感を楽しむ程度のものと言うのが実際の所。
調理方法も多くは無く、日本では主に煮物か素揚げぐらいでしか食べませんし、中国でも比較的良く使うとは言えメインとして使う料理は多くないです。
しかしそんなくわいですが、栄養価は高く、以外と健康には良いのです。
くわいの栄養と効果
くわいの栄養素として挙げられるのはまず「炭水化物」と「タンパク質」でして、100gあたり126kcalと困窮作物の代表格でもあるさつまいもとほぼ同じであり、生き物が生きていくためのエネルギー源として非常に優秀と言えます。
また「カリウム」も多く含まれており、血流やデトックス作用を向上させてくれる効果が高いと言えます。
そしてそれ以外には以下の栄養素が含まれています。
- 食物繊維
- ヨウ素
- マグネシウム
- リン
- 銅
- カルシウム
- ビタミンE
- ビタミンK
- ナイアシン
- カテキン
御覧のようにくわいにはビタミン類は種類も量も殆ど含まれておりませんが、その代わりと言ってはなんですがミネラル類が非常に多く含まれており、他の野菜類とはまた違った栄養素の補給源として優秀です。
こうした栄養素を含むことから以下のような効果効能があると言えます。
- 高血圧・貧血の予防や改善
- むくみや肩こりの軽減
- 老廃物の排泄を促す
- 運動機能の向上
- アンチエイジング
主に生きるための基礎となるようなエネルギー代謝や血流に関連する効果効能がやはり多く、デトックス効果や抗酸化作用の高い成分も多目であることからアンチエイジング効果も期待できるそうです。
くわいの下処理と食べ方
くわいがどんなものかが大体分かっていただけた所で、続いてくわいの食べ方についてを色々とご紹介させていただきます。
まずくわいを食べる時には下処理として皮を向いて水に晒し、更にしっかりと茹で溢してアク抜きをすることが必ず必要となりますので覚えておいてください。
それと言うのも芋の仲間のようにも思えるくわいですが、「シュウ酸」と言う苦味とエグ味が強い成分が多く含まれているため、これを取り除かないことにはとても食べられたものではないからです。
具体的な下処理の仕方は以下の通り。
- カブなどと同じく側面が「6面」になるように皮を剥く「六方剥き」で皮を剥く
(尻の部分から芽の部分に向けて包丁を入れて一面をむいたら対面を、と繰り返して6面を意識し皮ををむきます。こうすると見た目も美しく、何より煮崩れしにくくなります。) - くわいの芽の部分を大体1cmほど残して切り取り、芽の部分も皮の一番上だけは1枚むいておく
- くわいをボールなどの深めの器に入れ、常温よりもやや暖かいぐらいの水をひたひたよりも多めに入れ、1時間つけておく
(普通の水道水でも全く問題ありませんが、やや温かい水の方がアクがしっかりと抜けるそうです。またおせち料理の含め煮の時はこの段階で色付けのために「くちなし」を一緒に入れ、黄色く染めたりも良くします。) - 米のとぎ汁で10分ほど茹でさっと水で洗い流す
これが基本的なくわいの下処理の仕方なのですが、皮の向き方や芽を残すことなどは煮物にする時の基本みたいなものですから、揚げたり炒めたりして使う中華料理などの場合は適当にスライスして水につけたり、芽の部分を完全に切り落としてしまうことも多いです。
こうして下処理したくわいの食べ方として日本で最もメジャーなのはおせち料理に使う煮物、それについで素揚げです。
中国で主に使うくわいは種類が違って食感がまたことなるため、代用は基本できませんが、油との相性は良いので炒めたりしても以外と美味しいですし、気持ち長めに茹でた後にマッシュポテトのようにしてジャガイモやかぼちゃと合わせてコロッケやポテトサラダのようにしても使えます。
くわいの保存方法
多くの人にとってはくわいはそんなに沢山買ったり、日常的に食べるものではないでしょうからあんまり保存方法のコツなどをご存じない方が多いと思いますが、実はあまり長持ちしない食材なので、保存方法についても最後にご紹介させていただきます。
一番注意して欲しいのは乾燥しないようにすること。
冷蔵庫に入れる場合はしっかりと密閉する必要がありますし、むき出しのまま袋に入れて口を縛らず冬場の空気に晒しておくと2日でダメになることもあります。
少し長く保存したい場合はさっと水洗いし、新聞紙やキッチンペーパーで包み、そのままラップにしっかり1つづつ包んで野菜室で保存するのがオススメ。
この方法なら10日は持ちます。
ボールやタッパなどの容器に水を入れ、冷暗所に置いておくと言う方法もありますが、毎日何度か水替えをする必要があり、ちょっとでも温まったりするとかえって腐りやすくなり、その反面最大で長持ちしても保存期間は2週間が限度とそんなに変わりありませんので手間を考えるとオススメ度は下がります。