刺身は冷蔵庫に入れておいても長持ちさせるのは難しい食べ物だと言うことまでは皆さんご存知でしょうが、どういう保存方法だとどのぐらいの保存期間になるのかなどの細かいことまではご存じない方も多いもの。
またそうした刺身の保存についてのことを良く知らない人の多くは、大抵最適保存温度などもご存知ありませんし、とりあえず冷凍庫に入れておけば何も問題ないと思っている人もいます。
しかし、それって実は正しくないことなのです。
他にも刺身の保存についてはキッチンペーパーで余分な水分は取った方が良いとか良くないとかも言われていたり、保存料が使われているとかいないとかも言われており、実は意外と身近なものだと思っていた刺身の保存について意外と知らないことってあるのです。
そこで今回はそんな刺身の保存について色々と解説させていただいた『刺身の長持ち保存方法と保存期間!冷凍や冷蔵庫の保存温度のベストは?』と言う記事を書かせていただきました。
少々長めの記事になりますが、その分色々なことまでしっかりと解説させていただきますので是非御覧下さい。
Topics
刺身の保存についての基礎知識
まずは簡単に刺身の保存についての基礎的なことを箇条書きでご紹介します。
- 刺身の種類によって保存期間が異なる
- 切り身より冊(サク)の方が長持ちさせられる
- 「刺身」で食べるなら常温保存は実質不可能
- 加工食品扱いのものは保存料が使われていることが多い
- 冷凍する場合は買ってきたものに関してはほぼ再冷凍になる
ざっとこんな感じのことが刺身の保存に関しては言うことができまして、最低でもこれらのことは知っておかないと刺身を美味しく、安全に食べることが出来ないことも多くなります。
しかし逆に言えば、この箇条書きのポイントを全てちゃんと理解していると言うのでしたら、刺身をある程度は美味しく、安全に食べる保存が出来ていると思っても良いです。
その為ここから先はこの箇条書きでご紹介したことについてもう少し掘り下げてご紹介させていただきます。
刺身の種類別ごとの大体の保存期間
刺身の種類別ごとで考えた時の保存期間は大きく分けると以下のような感じになります。
- マグロ、ブリなどの大型魚で保存期間は2・3日程度
- タイ、ヒラメなどの白身魚で保存期間は1・2日程度
- 青魚、甲殻類、貝類の保存期間は当日中
上記の保存期間は冷蔵庫で保存した冊(サク)の場合であり、切り身の場合はほぼ全部当日中(24時間以内)になりますし、もちろん購入した時の鮮度にもより保存期間は前後します。
御覧のようにもちろんどれも早く食べるに越したことはありませんが、、魚の刺身の中でも青魚などは特に注意が必要。
イワシやサンマを本当に美味しく食べるなら絞めてから3時間以内なんて話しもありますし、生のカニやエビも本当に美味しく食べるなら、同じぐらいの時間以内に食べるのが良いとされています。
ちなみにサケは白身魚と同じ分類で、イカやタコは青魚、甲殻類、貝類と同じ分類で保存期間を考えてください。
切り身になってしまっている刺身は長持ちさせるのが難しい
既に切れていたり、殻がなかったりするなどして刺身として完成しているような状態になっていればいるほど刺身は保存が難しくなります。
これはどうしてかと言いますと空気に触れる面積が広くなることにより、酸化してしまいやすくなったり、雑菌が付きやすく繁殖しやすくなったり、細胞が多く壊れているわけですから水分が出て乾燥しやすくなるからです。
また後ほど詳しく触れますが、切り身の場合ですと冷凍することも出来なくなりますし、そうした意味でも切り身になってしまったものは保存するのが難しいのです。
その為もし最初から切り身になっているものを買ってきたならばともかく、冊以上の塊で買ってきたり貰った場合は刺身にするなら食べる分だけ予め切り出すことをおすすめします。
刺身の最適保存温度と最適な保存場所
まず刺身は常温保存が実質不可能であると思ってください。
例えば常温でテーブルの上に置いた場合、1時間で鮮度が落ちているのが感じられるようになり始め、2~3時間もすれば明らかに見た目からして劣化しているのが分かるようになります。
これは刺身を美味しく保存するならば最低でも0℃手前の凍るか凍らないかギリギリの保存温度で保存しないといけないからです。
しかしならば保存温度が低いほうが良いのかと言うと、中途半端に低いと言うのも問題があり、冷凍庫での保存と言うのはあまりおすすめできませんでして、最適と言える保存温度を考えた最適な保存場所はチルドやパーシャルであると言えます。
そしてそんなチルドやパーシャルで保存する際にも以下のような保存方法で保存しておくとより美味しさを保つことが出来ます。
- パックから取り出してドリップなどの余分な水気を拭く
- キッチンペーパーなどに包む
- ジップロックに入れるか、ラップに包みしっかりと密封
- チルドかパーシャルで保存
肉や魚は切った部分から細胞が壊れるのでドリップと言う形で中の水分が出てきますが、これに浸かったままですと早く傷んでしまうため、出来るだけこれに触れないようにキッチンペーパーでふき取り、また別のキッチンペーパーで包んでおきます。
そして【切り身になってしまっている刺身は長持ちさせるのが難しい】の所でも触れたように、なるべく空気に触れていない方が長持ちしますのでラップをキッチリ巻くか、ジップロックに入れて密封する事も長持ちさせるコツです。
これだけのことをやっておけば上記で紹介したように大型魚で2・3日程度、白身魚で1・2日程度、青魚、甲殻類、貝類が当日中は美味しく食べられるようになります。
加工食品扱いのものは保存料が使われていることが多い
刺身に保存料が使われると言うこと事態を知らない人も多いかと思いますが、容器の裏側を見てみると刺身の中でも「たたき」や「切り落とし」、一部の「盛り合わせ」なんかには保存料や添加物が使われていることは結構あります。
具体的には良くスーパーなどでも目にするマグロのネギトロなどは、植物性油脂をマグロのスジっぽい赤身の部分といっしょに砕いて混ぜることで美味しく作り直しているものが多いからあんなに安く売られているのですし、イカソウメンの独特の甘味も還元水飴、砂糖などが使われていることが多いです。
もちろん敢えてどんな商品にも使っているわけではなく、保存料は明らかに長持ちしない食材の乾燥を防ぐためやそのままでは美味しく食べてもらえない部分を美味しくするためのものとして使われているわけなのですが、それでも気になるという人も多いでしょう。
そうした人は冊で常に購入するか、食品に保存料を使った場合は必ず表示されているので裏側まで確認して購入することをおすすめします。
もちろんそもそも刺身に使われる量の何倍も使ったような加工食品を私たちは日常的に口にしていますし、同じ商品でも保存料が使われているものの方が長持ちしたり、ものによっては調味料で調整された加工食品のほうが美味しい物なんかもあったりするので、一概に保存料が使われているものは避けた方が良いとは言えないところもあるのですが。
冷凍する場合は買ってきたものに関してはほぼ再冷凍になる
刺身を冷凍保存するのはおすすめできない理由がこれです。
スーパーなどで取り扱うものはもちろんのこと、地元で取れたものを市場で買ってきたとか自分で釣って来たものでなければ、今の世の中刺身にするような魚はすべて一度冷凍してから運ばれ、店頭に並ぶ前に解凍したものであり、それを買ってきてからまた冷凍することになるので全て再冷凍する形になるのです。
そして冷凍したものはどれほど急速に低温で冷凍しようともある程度は細胞が壊れてしまうので、中の水分や栄養素が外に出やすくなっていますから、それを更に悪化させる再冷凍は業務用の超低温で急速冷凍できる冷凍庫でもあまりしないのに、家庭用の冷凍庫でそれをするとなると味が相当落ちてしまうのがオススメできない具体的な理由。
それでもやはり食べられなくなってしまうよりはマシだからと長期保存すると言うのならばせめて冷凍と解凍は以下の方法をお試しください。
冷凍する時
- 刺身をキッチンペーパーで包み、ドリップを可能な限り取り除く
- キッチリとラップに包む
- 出来るだけ平らになるようにジップロックに入れる
- 空気をしっかりと抜き金属のバットやトレーの上に乗せ冷凍
解凍する時
- 包んでいるラップから取り出し表面を軽く水で湿らせる
- ドリップにつからないようにやや深めの皿の上に箸を渡しその上に置く
- しっかりとラップをかけて冷蔵庫で解凍
上記で説明したように冷凍するときは以下に素早く低温で冷凍するかが美味しさを保つコツ。
解凍する時はなるべく低温でと言う所は同じですが、早さはその逆でゆっくり解凍するのと、溶けていくと同時に出るドリップに如何につけないで溶かせるかがポイントです。
もちろんこれだけ丁寧に解凍したとしても味の劣化はしますし、食感こそが美味しさにつながるような刺身はその食感も落ちてしまいますので、やはり冷凍は出来ればしない方が良いのですが。
以上が刺身の保存についての注意や美味しく少しでも長持ちさせるためのポイントです。
今回ご紹介したことを知っているだけでも、刺身を美味しく保存することが出来るようになることが増えるはずですので、ぜひとも参考にしてください。