えごま油がかえって危険であると言う話を聞いたことはありませんか?
様々な病気の予防効果を持っているとか、アイチエイジング、美肌効果があるとして1990年代より徐々に認知度が高まりだしたえごま油ですが、その後20年ほどしてから今度は「えごま油は副作用があって危険」とか「かえって健康を害する物である」などという話が出始めました。
一時期は健康に良いと言っていたくせに今度は悪いと言う話が出るなんて良い物だと思って毎日とっていた人からするととんでもない話で、直ぐにその話を聞いたら殆どの人はえごま油を使うのを止めたくなると思います。
しかし少し手元にあるえごま油を処分するのは待っていただきたいです。
なぜなら実は「えごま油そのものや含まれている成分が危険と言うわけではない」からです。
ではどうしてえごま油が危険などとは言われているのか?
今回はそんなえごま油が危険であると言われ始めた理由を中心に、えごま油とはどういうものなのかから、えごま油は結局体に良いのか悪いのかまでを解説させていただくため『えごま油が危険と言われている理由とは?』と言う記事を書かせていただきました。
あれほど健康に良いと薦められていたはずのえごま油が実は危険であると言う理由に興味はございませんでしょうか?
えごま油とはそもそもどんな物なのか?
まずはそもそもえごま油とはどういうものなのかを簡単に説明させていただきます。
えごま油とはシソ科植物のえごまの種子から抽出された油です。
この「えごま」の葉っぱが「シソ」の葉っぱに見た目はそっくりなことから「シソ油」と呼ばれることもありますが、厳密に言うと私たち日本人に馴染みある「シソ」とはまた別の植物です。
このえごまの原産は主に中国やインドなのですが日本にも古くからあり、縄文時代(1万年~5500年前)の遺跡数カ所で栽培されていた痕跡が見つかっていて、平安時代(1200年~800年前)には食用油はもとより灯油、油紙、塗料などとさまざまな用途に用いられたほどの歴史ある植物です。
そんな古くから広い用途に使われていたえごま油ですが、今では知らない人もいるほどに知名度が落ちました。
それは何故かと言いますと、このえごま油ややクセがある臭いと味があるのです。
まず「シソ油」とも呼ばれる油なのですが、実際にシソの油ではないためその臭いはシソのような臭いではなく、むしろ大概の人には「青臭い・生臭い」と表現するような独特の臭いであり、多くの人にとっては好ましいとは思えない臭いがします。
続いて味ですが「えごま油」と言うぐらいだからと「ゴマ油」のような味を想像する人が多いかと思いますが、「えごまはゴマの仲間ではなくシソ科の植物」なので「全く違う味」で、「濃い目のサラダ油」と言った感じの味です。
もちろんこの味や臭いについては「どのメーカーの商品であるか?」や「どれぐらい古い油であるか?」、「どんな保存方法で保存したか?」などでまた変わってきますが、良くメーカーの商品の解説に書かれてある「味も香りも殆どありません」と感じる人はかなり少数であると思います。
ですがそんなえごまからとったえごま油は、一昔前から「とある成分」が豊富であるとして健康に良いとして再び注目を集めました。
続いてはそんなえごま油が再び注目を集めた成分についてや効果・効能についてをご紹介します。
えごま油の注目成分と効果・効能
えごま油とはどんな物なのかを簡単に知ってもらえたところで、続いてはえごま油が持つ特徴の中でも良い面についてご紹介させていただきます。
まずえごま油に含まれている注目されている成分は以下の物があります。
- αーリノレン酸(アルファリノレンサン)
- ロズマリン酸
- ルテオリン
それぞれがどんな物なのかを少しだけ解説すると以下の通り。
αーリノレン酸
不飽和脂肪酸であり「オメガ3脂肪酸」または「n‐3系」と呼ばれる種類の油の成分で、青魚に多く含まれていて健康に良いとして有名なEPA・DHAと同じ仲間。
主に中性脂肪、悪玉コレステロールの減少と脳や網膜の神経伝達をスムーズにする力があることで知られ血液をサラサラにする油とか、認知症の予防改善に効く成分とされています。
端的に体に良い油の成分として食用油の紹介にはどれでも必ずこの名前を聞くほどの成分でもあり、えごま油は確かにこのαーリノレン酸を沢山含んでいます。
ロズマリン酸
えごまはシソの仲間であり、ローズマリーやスペアミントと言ったシソ科ハーブ類の植物に多く含まれるポリフェノールの一種であるロズマリン酸を含んでいます。
このロズマリン酸はアレルギー症状を和らげたり免疫力を高める効果の他にも認知症予防やうつ病の改善などの脳の健康に効果のある成分として有名です。
炭水化物をブドウ糖にする働きを阻害したり、血糖値があがりにくくする効果もあるのでダイエット効果をもたらせる成分としても知られています。
ルテオリン
ハーブ類に含まれていることが多いフラボノイドの一つであるこの成分もえごま油は含んでいます。
主にアレルギー症状の緩和で有名な成分ですが、その他にも抗酸化物質活性、炭化水素代謝の促進などの力も持っており、アンチエイジングとダイエット効果があるとされています。
この成分を含んでいる油は他にはオリーブオイルぐらいなのですが、えごま油が持つ体に良い他の成分との相乗効果も期待できる分も含めて、オリーブオイルよりもこの成分の力を引き出せると言えます。
その為えごま油は次のような健康ヘの効果・効能を持っているということができます。
- 美肌・むくみ・冷え性の予防
- 癌や動脈硬化を初めとする生活習慣病の予防
- 高血圧の予防
- 認知症、アルツハイマー病の予防
- うつ病などの予防・改善
- アレルギー症状の緩和
- アンチエイジング効果
- ダイエット効果
以上のような非常にありがたい力をえごま油は持っています。
ではどうして「えごま油は危険」などという話が出てきたのでしょうか?
その理由を次はご紹介させていただきます。
えごま油が危険であると言われる理由
これまでご紹介したことからえごま油は味や臭いに少々難があっても、健康に非常に良いものであると知っていただけたかと思います。
しかしそんなえごま油について現在は「えごま油は危険である」と言う話もあるのです。
その理由はなんなのかと言いますと以下のことが挙げられます。
- 熱に弱く、酸化しやすい
- 最適摂取量を誤って使用するケースが多い
- 種類によっては成分が怪しい物がある
以上の3つの理由からえごま油は危険であると言われるようになりました。
1つずつ詳しくどういうことなのかを解説しますと以下の通り。
熱に弱く、酸化しやすい
実はえごま油は他の油に比べて加熱することで成分が変化しやすい油であり、酸素に触れることで早く酸化してしまいやすい油であるため長期保存に向いていないのです。
その為保存の際は直射日光を避けるのは当然のことながら、保存する容器も日光や空気を極力遮断する物でないといけませんし、夏場は常温でも変質を起こす可能性があるので冷蔵庫での保存をした方が良いなど、健康のために使うのならばサラダ油やオリーブオイル以上に保存に気を使う必要があります。
また一度開封してしまえば再度真空状態にすることは出来ませんから、 「遅くとも1ヶ月以内には使わないと独特のにおいや味が更に悪くなってしまう」と良いますし、100℃以上に加熱すると過酸化脂質という有毒な成分が発生するため「加熱調理に使うのも良くない」などと使うにしてもその利用方法が限られてきます。
何より怖いのははっきりとどれほど酸化してきているのかが分かりにくい所。
明らかに飲んだ時の喉に来る違和感や臭いで飲みにくいと感じる時には、もう既に酸化がかなり進んだ後であったりするのです。
こうした特性を知らずに市販のえごま油を一般家庭で買って使うことが多いため、殆どの場合多かれ少なかれ劣化させてしまうケースが多く、折角のえごま油の効果・効能が活かせないどころか逆に体に害を及ぼしてしまうことも多いのです。
最適摂取量を誤って使用するケースが多い
ダイエットに効くとか、健康に良いと聞くと日本人には出来るだけたくさんとろうとする方が多いのですが、えごま油を過剰摂取するとかえって体に毒になります。
なぜかと言うとえごま油も油ですから過剰摂取すれば血中の脂肪分を増やすことになり、むくみや冷え性、そして癌や動脈硬化を初めとする生活習慣病や高血圧になりやすくなってしまうのです。
しかも先程ご紹介したようにえごま油は熱に弱く、酸化しやすいため酸化したものを摂取しやすくより健康への害になる可能性が更に高まります。
その為えごま油を健康的に使うためには「酸化していないえごま油を1日スプーン1杯、より正確に言うのであれば2g、多くて15gを加熱せず摂取する」と言う決まりを守って使う必要があるのです。
健康に良いと聞いたからとなんにでも使ってみたり、多めに飲んでみたりすることはもちろん体に良くありませんし、それだけではなくあまり安い物ではないため酸化したものを無理矢理使っていたり、味と臭いに独特のクセがあるので加熱して使ったりするなど、これが意外としっかりと守れない方も多いので、そう考えると確かに危険と言えるかもしれません。
種類によっては成分が怪しい物がある
えごまという植物は日本にもかなり古くからある植物ですが、現代では大々的にえごまを使う食文化は中国の一部と韓国ぐらいにしかなく、えごま油もかなりの物が輸入品であり、日本のメーカーのように見えても中国や韓国の材料を使い、中国や韓国の基準で中国や韓国の工場で作るメーカーだけが日本と言う詐欺臭い商品もかなりあります。
これの何が良くないのかと言いますと特に輸出する商品に対する規定や基準、そして表示についての取り決めがまだ甘く、成分が本来のえごま油と言えるものと異なっている物があるそうです。
その為例えば焙煎して抽出したり薬品を使って抽出する方法で作られているため、既に変質が始まっていたり余計な成分を含んでいたりすることもあるそうです。
もっと酷い物になると他の油と混ぜていたりしてえごま油のウリである健康成分が本来の半分も含まれていなかったり、雑多な油が含まれ過ぎており、血管の内壁に油が付着して血の流れが滞る事態を起こしやすいものもあるそうです。
こちらは、オメガ3系脂肪酸のα-リノレン酸を約60%含んだ、オススメのえごま油になります。
また油そのものに問題はなくとも容器が日光や空気を通しやすい物であったりすることは多いので、消費者の手元に届く頃には酸化が進んでいたりすることもあり、そうした理由からえごま油はかえって危険であるとも言われているのです。
えごま油は使ったほうが良いのか使わないほうが良いのか?
最後に結局えごま油は使ったほうが良いものなのか使わないほうが良いものなのかをはっきりとさせておこうと思います。
結論から言いますとしっかりとえごま油に知識と理解があれば使った方が良いですが、そうでないならば使わないほうが良いです。
えごま油と言うもの自体は健康に良い効果を持っているので量と用途を守れば確かに健康に良い効果をもたらしてくれます。
しかしえごま油は保存や取り扱いに注意すべきことが多く、本来のえごま油の良さが失われている、または失われやすい商品が多く出回っているので悪くなってしまった物を使ってしまうことも結構あるのです。
実はこれオリーブオイルやアマニ油などの他の健康に良いとされている油にも似たようなことは言えるのですが、えごま油についてはよりシビアな問題なのでこれからご購入する方、これからも継続して使う方は参考にしてみて下さい。