あさりの砂抜きの方法!失敗しないお湯や時間の目安と死んだあさりの見分け方

あさりの砂抜きをしたことはございますか?

あさりは砂抜きしないでは食べることの出来ない海産物ですが、最近は大半の方が既に砂抜き後のものをスーパーで買ってくることが圧倒的に多いためあさりを調理したことはあっても砂抜きはしたことがないと言う方も少なくないかと思います。

しかし潮干狩りで取ってきたり、新鮮な砂抜き前の活あさりをスーパーや市場などで買ってきた時は砂抜きを絶対にする必要があり、全く経験も知識もなしだと美味しいあさりが手に入ったときほど困るもの。

何せ砂抜きに失敗したら折角のあさりが相当美味しくなくなってしまいます

例えば時間の目安として一晩置くと言うことだけ知っていて冷蔵庫で保存したため砂が抜けきれていなかったりする失敗例は意外とありますし、砂抜き前に見分け方が分からず死んだあさりが混じったまま調理してしまい、料理全体どころかキッチン丸ごと臭くなったりすることもあります。

また中には砂抜きの工程を何故どうしてするのかを知らないまま「時短が出来る」と言うことだけ聞いて50度のお湯を使う砂抜き方法を中途半端に実行して「あさりが開かないで失敗した」なんて人もいるものです。

そこで今回はそんなあさりの砂抜きの基本的な仕方や時短のポイント、何故そうするのかの理由などについてご紹介する『あさりの砂抜きの方法!失敗しないお湯や時間の目安と死んだあさりの見分け方』と言う記事を書かせていただきました。

少々長めの記事になりますが、その分色々なことまでしっかりと解説させていただきますので是非御覧下さい。

あさりの砂抜きが必要な理由

まず本当に初歩的なことなのですが、こちらではあさりの砂抜きが調理する時に何故必要となるのかと言うことからご説明します。

砂抜きが必要と聞いた方の中に「砂抜きをしないでもあさりを貝から取り出してしっかり洗えば良いのでは?」と思った方はいませんか?

そう考える人もいるでしょうが、あさりでこの方法で砂を食べないようにするのはちょっと難しいです。

それと言うのもまずあさりは殻に入った状態で調理することが圧倒的に多い食材なのですが、砂は殻と身の中に溜まっているだけではありませんので身を外さずに砂を洗い落としきることは出来ません。

また砂が特定の部分の内臓だけに入っていると言うものでもなく、あさりが中にまで取り込んだ砂を洗い落とそうと思ったらその過程で身がぼろぼろになり、殆ど食べる所なんて残らないほどの状態になるからです。

むしろそこまでして砂を抜いてもあさりの一番の美味しさである出汁が殆ど流れ出てしまうため、食べても美味しくないあさりになってしまいます。

その為あさりをおいしく食べるために砂抜きは必要となるのです。

あさりの砂抜きの原理

あさりの砂抜きの必要性の次にどうして「砂抜き」をするとあさりの中の砂が出てくるのかを簡単にご紹介しておきます。

そもそもまずあさりにとっての砂とは必要だから体内に取り込んでいるものではなく、砂の中で生きる生き物であるため自分が必要なものを取り込む時に一緒に取り込んでしまうものです。

その為淡水魚の泥抜きと原理は全く同じで、砂のないところであさりをある程度生かしておけば勝手にあさりが取り込んだ中の砂はあさりの呼吸に合わせて吐き出されていくわけです。

しかし逆を言うと砂抜きをしても死んだあさりの砂を抜くことは不可能ですし、砂抜きをするあさりが呼吸をたくさんしていなければ砂が中々抜けません。

その為なるべく元気な状態にし、あさりが十分に活動的な状態になければ砂抜きが失敗しやすく、大半の失敗例はここを見落としたのが理由となります

なのであさりの砂抜きの最も基本的な原理を知った上で、砂抜きをしないと砂抜き後あさりを美味しく食べられない場合が多いのです。

基本となるあさりの砂抜きの方法とその理由

ここでは最も基本的な砂抜きの正しいやり方とその理由についてをご紹介します。

まず砂抜きの方法ですが、箇条書きにしますと手順は以下の通り。

  1. あさりを洗わずに死んだあさりを取り除く
  2. 重ならないように入れ物に並べ、塩水を入れる
  3. 密閉しないように蓋をし、4~8時間適温で放置
  4. ザルに開け、流水で洗う

これらの手順を1ずつより具体的にご紹介しますと以下の通り。

あさりを洗わずに死んだあさりを取り除く

よほど貝殻が汚いとか採取してきた場所に不安がなければあさりは砂抜き前には洗わないことをおすすめします。

それと言うのもあさりは水道水で洗ってしまうと温度が冷たく殻を強く閉じてしまったり、カルキなどの成分で死んでしまいやすくなるからです

洗うにしても洗い落としたものを他のあさりが呼吸で洗い流したものを吸ってしまうと意味がないため、常に新しい水をかけ流しながら表面を磨くように洗う必要があるため、死なないようにするための適温の海水が大量に必要となります。

その為砂抜き前は基本あさりは洗いません。

またあさりは死ぬと直ぐに腐り始め、物凄い悪臭を放ちます

なので死んだあさりは直ぐに取り除かなければ周りのあさりに臭いが移りますし、死んだあさりから流れ出る成分で水が汚れて他の元気なあさりも死んでしまう2次災害を起こします。

一番分かりやすい死んだあさりの見分け方は「口が開いている・簡単に開いてしまう」ことですからそこまで難しいことではありませんが、勿体無いとかめんどくさいと放置すると最悪あさりの砂抜きをする部屋ごと臭くなるのでこれは忘れないようにしてください。

この他にも手馴れた方なら「臭いが違う」、「重さが違う」、「他の貝にぶつけた時に音が違う」などで判断することも出来ますが、とりあえずは「口が開いている・簡単に開いてしまうあさりは必ず取り除く」とだけ考えておいていたら良いです。

重ならないように入れ物に並べ、塩水を入れる

入れ物は何でも構いませんが出来るだけ重ならないようにすることが望ましいです。

そうしないと上のあさりが吐き出した砂などを下のあさりが呼吸する時に中に取り込んでしまうため、砂抜きがきちんとしきれないことがあるからです。

もっと贅沢を言うならば二層式がベスト。

例えばザルの中にあさりを入れて物の床から浮いた状態にしたり、2つに分離するタイプの洗った食器を置く水切りラックなどを使うと砂抜きが非常にはかどります。

入れる水もかなり大事。

あさりを生かしておくために水道水やミネラルウォーターではなく、海水または海水に近い塩水にあさり全体を浸けておかなければなりません。

もちろん一番手っ取り早く確実なのは潮干狩りついでにその場の海水もペットボトルなどに入れて持ち帰ってくることです。

あさりを最も元気な状態にしておくには住んでいた環境を再現することなのでそうした意味でもベストと言えます。

ですがこれを忘れた場合や手に入らない場合、あるいはあさりを取った場所の海水が汚いと感じる場合は、水1リットルに対し約30グラム(大さじ2ぐらい)の割合で塩を溶かした塩水で代用することも可能です。

とは言え作った塩水ならばそこまで厳密な塩分濃度の調整をしてもあんまりかわりません。

大雑把に行くならば「舐めてちょっとしょっぱ過ぎるかな?」と感じるくらいを目安にしてみて下さい

むしろ入れる水の温度が重要。

余り冷たすぎたり暑すぎるとあさりの元気を奪う原因となりますから入れる塩水の温度は10℃~20℃ぐらいの温度を目安にすると良いです。

入れる量の目安としましては貝殻の頭が少し出るぐらいがベスト。

少なすぎても多すぎても余り砂を吐いてくれませんのでそのぐらいの量に合わせて下さい。

密閉しないように蓋をし、4~8時間適温で放置

浅い入れ物に入れた場合砂抜きをする時に周囲に水がはねるのですが、生き物なので呼吸が出来ないと死んでしまうので砂抜きする時に密閉してはいけません

ですが砂の中にもぐりこむ生き物であるため、ある程度暗い場所の方が活発に呼吸し砂を吐きますから、出来るだけ光を遮る蓋はあったほうが良いです。

その為くしゃくしゃにした新聞紙などをあさりを入れた入れ物の上にかぶせるのがおすすめ

元々冷暗所で砂抜きをするならばザルをかぶせておくだけでも周囲に飛び跳ねる水がだいぶマシなのでそれもありです。

この後は適温で4~8時間置いておくだけ。

あさりにとっての適温は15℃~20℃ですが、限界の温度としては下が5℃で上が25℃ですからあさりの潮干狩りの時期なら直射日光さえ遮れれば常温で大体OKです

しかし寒過ぎたり暑過ぎたりするとあさりは余り砂を吐きませんからできれば15℃~20℃ぐらいの温度をキープできるほうが好ましくはありますし、冷蔵庫に入れれば寒すぎますし、室温が25℃前後ともなるとあさりも死に始めますから最適温度は一応覚えておくことをおすすめします。

こうして砂抜きをしたあさりの砂が抜け切る時間は大体4~8時間です

あさりの元気があればそれだけ砂が抜けきるまでの時間は早くなりますし、あまりあさりが元気でないと時間がかかりますが、最大でも放置時間は12時間ぐらいにすることをおすすめします

何故かと言いますと砂抜きをさせるのはあさりの寿命を縮めることでもあり、長く放置しすぎても活きが悪すぎると結局砂が抜け切る前に死んでしまうからです。

なるべくそうならないような方法をここではご紹介しておりますが、手に入った段階でそもそもあまり活きが良くない場合だってありますのでこのことも予め覚えておくことをおすすめします。

ザルに開け、流水で洗う

吐いた砂がヌメリと共に貝殻にけっこう付いていますから調理直前にはザルに入れて流水で洗ってください。

この後は延命させる必要もありませんから存分に水道水でガチャガチャやって洗い流しましょう。

正し水を溜めてその中で洗ったりしてしまうとまだ生きている貝が洗った汚れや砂を呼吸で吸い込むため、必ず流水をかけ流して洗い落とすようにしてください

この時には死んで簡単に開く、またはどれほど火を通しても開かないあさりがあったとしても余程臭くなっていなければ一応食べることは可能です。正し死んでしまっているということは砂が抜けきれていない場合があるということですので、出来ればはじいてしまうことをおすすめします。

以上が最も基本的な砂抜きの方法です。

この砂抜きをした後のあさりは大体食べられると言う意味では最大3日、美味しく食べられると言う意味では丸1日保存することが可能です。

保存についての詳しいことは別記事『あさりの保存方法と保存期間!鮮度を保つ最もベストな保存方法とは?』でご紹介させていただいています。

50度のお湯でする時短砂抜き

こちらでは普通なら何時間もかかるはずの砂抜きを僅か30分以内でする方法と言うのをご紹介させていただきます。

正しこの方法以下の注意点があります

  • 新鮮・元気なあさりでないと砂が抜け切れないことがある
  • 時間をかけずに抜くためあさりが死にやすく、保存時間が短くなる
  • 放置時間が長かったり温度が高いと旨味が出て行ってしまう

こちらの方法の方が調理した時美味しく出来上がると言う話もそこそこインターネットでは見受けられますが、実際の所上記の欠点がありますので早く砂抜きをしたいという方でもこのことは覚えておいて欲しいです。

それでもこの方法でやるという方は以下の方法で砂抜きをしてください。

  1. 死んだあさりを取り除く
  2. 深めの入れ物に開け50度のお湯を入れる
  3. お湯の中で殻をこすり合わせるように洗う
  4. あさりを重ならないように別の入れ物に並べる
  5. 50度のお湯を貝の頭ひたひたぐらいまで入れる
  6. 20分ほど放置
  7. ザルに開け、流水で洗う

50度のお湯は温度を計りながら作るよりも沸騰したお湯に同量からちょっと多いぐらいの水を入れて作ると簡単に出来ますし、何より早く砂抜きができるのがセールスポイントです

吐き出す砂が多い時は何度かお湯を取りかえればしっかり抜けるし、そのまま冷蔵しても細胞は死なないので旨味成分や栄養分はそのまま保っているとは言われていますが、実際の所余程鮮度の良いアサリや大きなあさり、もしくはスーパーで売られている一度は砂抜きされている活あさりなどでないと砂がそもそも抜け切らないようですのでお試しの際は過剰な期待はしないでください。
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