あさりは日本人にとってはとても身近な海産物の1つでしたが、最近はやや庶民的なものとは言いがたくなってしまった海産物であり、その保存方法や美味しく食べられる保存期間などを知らない人が増えつつあります。
例えばあさりの最も基本的処理である砂抜きの正しい方法、砂抜き後の正しい保存方法をご存知でしょうか?
あるいは手に入れた翌日までに食べきれない場合、ただ冷蔵庫に入れただけではいけないことや、冷凍すると起きる問題点をご存知でしょうか?
30年前ぐらいでしたら、大概の家で料理をする方はこうしたことを当たり前のように知っていたかも知れませんが、今はこれらは常識とは言えない知識となっています。
しかしあさりは鮮度で大きく味や臭いに差が出るため、潮干狩りやスーパーなどで手に入れた後の扱いがとても重要な食べ物であり、保存方法や砂抜きの方法1つで美味しいあさりも不味くしてしまうことはザラにあります。
そこで今回はそんなあさりを美味しく食べるためについての「常温・冷蔵庫・冷凍庫のどの保存方法が良いのか?」や「砂抜きや砂抜き後の保存方法について」などについてをご紹介する『あさりの保存方法と保存期間!鮮度を保つ最もベストな保存方法とは?』と言う記事を書かせていただきました。
少々長めの記事になりますが、その分色々なことまでしっかりと解説させていただきますので是非御覧下さい。
あさりの砂抜きについて
まずこちらではあさりを調理する時には絶対に必要となる砂抜きについてをご紹介します。
砂抜きの必要性を知らない方はいないと思いますが、必要だと知っているのとちゃんとできるのはまた別のことであり、潮干狩りで取ってきたり採れたての新鮮な物を買ったり貰った時、砂抜きを失敗しあさりが嫌いになる人は結構います。
あさりは二枚貝の中でも殻ごと調理することが殆どであり、砂の浅瀬にもぐり込むものであるためにかなりの量の砂が入っていることが多く、ここが失敗するといくらうまく保存しても美味しくなくなってしまうからです。
そこでまず最も基本的な砂抜きの正しいやり方とそれをしないとどうなるのかについてをご紹介します。
まず砂抜きの方法ですが、箇条書きにしますと手順は以下の通り。
- 死んだあさりを取り除く
- 重ならないように入れ物に並べる
- 塩水を入れる
- 密閉しないように蓋をする
- 4~8時間適温で放置
- ザルに開け、流水で洗う
これらの手順には1つずつのポイントがありましてそれぞれ以下のことを気にしてください。
あさりを砂抜き前は洗わない
まず最初のポイントとしてよほど泥まみれでない限りあさりは砂抜き前には洗わないことをおすすめします。
それと言うのもあさりは水道水で洗ってしまうと温度が冷たく殻を強く閉じてしまったり、カルキなどの成分で死んでしまいやすくなるからです。
洗うにしてもかけ流しながら表面を磨くように洗う必要があるため、常温の潤沢な海水が用意してあると言うのでなければ砂抜き前は洗わないほうが返って良いです。
死んだあさりを取り除く
あさりは死ぬと直ぐに腐り、物凄く臭くなります。
なのでこれをしないと周りのあさりにも臭いが移りますし、水が汚れて他の元気な貝も死んでしまう2次災害を起こします。
その為「口が開いている・簡単に開いてしまうあさり」は必ず取り除くようにしましょう。
重ならないように入れ物に並べる
入れ物は何でも構いませんが出来れば重ならないようにすることが望ましいです。
そうしないと上のあさりが吐き出した砂を下のあさりが呼吸する時に中に取り込んでしまうため、砂抜きがきちんとしきれないことがあるからです。
もっと贅沢を言うならばザルの中にあさりを入れ、あさりが入れ物の床から浮いた状態で入れられるのがベストです。
塩水を入れる
基本的に砂抜きをさせるためにはあさりが生きている状態でなければなりませんから海水または海水に近い塩水にあさり全体を浸けておかなければなりません。
一番手っ取り早く確実なのは潮干狩りついでにその場の海水もペットボトルなどに入れて持ち帰ってくることですが、これを忘れた場合や海水が余りにも汚い場合は、水1リットルに対し約30グラム(大さじ2ぐらい)の割合で塩を溶かした塩水で代用してください。
再度繰り返しになりますが、砂抜きで最も効果が出やすいのはあさりが住んでいた環境を再現することなので、ベストなのは掘った場所の海水です。
密閉しないように蓋をする
当たり前ですがあさりは生き物なので呼吸が出来ないと死んでしまうので砂抜きする時に密閉してはいけません。
ですが砂の中にもぐりこむ生き物であるため、ある程度暗い場所の方が活発に呼吸し砂を吐きますから、出来るだけ光を遮る蓋はあったほうが良いです。
その為くしゃくしゃにした新聞紙などをあさりを入れた入れ物の上にかぶせるのがおすすめ。
これを知らずに密閉すればあさりは死んでしまいとても臭くなり当然砂も吐きませんし、明るい所だと砂をあまり吐いてくれません。
4~8時間適温で放置
この適温と言うのがポイントで冷蔵庫や日光が当たる場所などで寒過ぎたり暑過ぎたりするとあさりは余り砂を吐きませんし、死んでしまうこともあります。
ベストな温度は15℃~20℃。
贅沢を言うのであれば温度変化もしない方が良いため発泡スチロールなどに入れるのがおすすめですが、そこまでしないでも潮干狩りのシーズンである時期ならば直射日光の当たらない風通しの良い場所においておけば大丈夫です。
とは言えこれが夏ですと話がまた違ってきまして、25℃前後で放置すると今度はあさりが死に始めますから水を頻繁に取り替えたり、入れ物の外に別の入れ物を用意して氷を入れ、間接的に冷やすなどの手間が必要になります。
ザルに開け、流水で洗う
吐いた砂がヌメリと共に貝殻にけっこう付いていますから調理直前にはザルに入れて流水で洗ってください。
この後は延命させる必要もありませんから結構適当にガチャガチャやっても大丈夫。
正し水を溜めてその中で洗ったりしてしまうとまだ生きている貝が洗った汚れや砂を呼吸で吸い込むため、必ず流水で洗い落とすようにしてください。
これが砂抜きの基本です。
この砂抜きをした後のあさりは詳しくは後ほど『あさりの主な保存方法のコツと保存期間』の所でご紹介しますが、大体食べられると言う意味では最大3日、美味しく食べられると言う意味では丸1日保存することが可能です。
またこの砂抜きと言う行為はすればあさりの寿命を縮めるものであり、半日以上放置すればあさりが死に始めると言うことも知っておいて欲しいです。
大体丸1日放置すればほぼ確実に全滅しますので、長持ちさせたい際はギリギリまで砂抜きをしない選択もありです。
もっと早く砂抜きする方法として50℃前後のお湯に10分~20分ほど入れると言う方法もあるのですが、生きたあさりにこれをやるとこの後直ぐに死んでしまい砂が抜き切れなかったり、臭くなったり旨味が外に出てしまうようで味が落ちる言われています。
スーパーで買ってきたものもきちんと砂抜きされていないものや死んでしまったあさりが混じっていることもありますので、そうしたあさりの調理前にはこの方法もありですが、折角の鮮度の良いあさりにはこの方法はおすすめしません。
あさりの保存方法のコツと保存期間
こちらではあさりの砂抜きした後、常温・冷蔵庫・冷凍庫それぞれで保存した時の大体の保存期間とそれぞれの環境での保存するコツをご紹介します。
まずそれぞれの保存期間についてを先にまとめますと以下の通り。
- 常温だと最短で半日、最長で1日
- 冷蔵庫だと最短で1日、最長で3日
- 冷凍庫で最大1ヶ月
御覧のようにあさりは冷凍した場合を除いて長持ちしません。
また詳しくは後ほどご紹介しますが、冷凍する際のデメリットもありますし、冷凍しても食べられる期間が1ヶ月と言うだけの話であり、美味しく食べるなら最高でも10日が限度です。
そうした特徴も踏まえ、詳しいそれぞれの保存方法についてのコツを御説明します。
常温保存する場合
あさりの常温保存は砂抜きした後には絶対におすすめ出来ません。
それと言うのも生き物と言うのは下手に活発な状態よりも仮死状態の方が生命活動が止まりきらないからであり、砂抜きして瀕死の状態になったあさりならば冷蔵庫で保存したほうがまだ長生きするからです。
その為砂抜き後は常温保存しないようにしてください。
冷蔵庫で保存する場合
砂抜き後のあさりはせめて冷蔵庫で保存することをおすすめします。
とは言え冷蔵庫では冷たすぎてこれもまたあさりが早死にする原因となりますので、正確には野菜室で保存するのがおすすめです。
保存方法でおすすめなのは以下の通り。
- 新聞紙やキッチンペーパーであさりを包む
- 表面を霧吹きなどで湿らせボールなどに入れる
- ラップなどをかけずそのまま冷蔵庫で保存
- 半日に一回包んでいる新聞紙やキッチンペーパーを交換
塩水に浸けて保存する方法もあるのですが、こちらの場合は他に冷蔵庫に一緒に入れているものやあさりが途中で死んだりして水があさりにとって好ましくない状態になると一気に長持ちしなくなる所があり、ややおすすめレベルが落ちます。
この保存方法でのポイントはあさりを仮死状態にするということでして、水分も出来るだけ控え、温度も10℃ぐらいにしてギリギリ生きている状態を作り出すことにありますから、砂抜きをする時とは保存方法がかなり変わります。
とは言えこれでも長持ちして3日ですし、密閉できない関係上臭い移りする危険性があるので出来れば直ぐに食べるか、そうでなければ次でご紹介する冷凍保存をおすすめします。
冷凍で保存する場合
あさりを安心して手に入れた2日以降食べたいならば冷凍保存するしかありません。
正し冷凍する場合あさりの旨味が流れ出てしまいますので基本的に汁物以外だと味が大幅に落ちますし、長期保存すると食感が妙にぐにゃぐにゃになることがあり、調理方法が限定されるデメリットもあります。
それでも構わないと言う方は以下の方法で冷凍してみることをおすすめします。
- 砂抜き後キッチンペーパーなどで水気を取る
- 金属製の入れ物にあさりが重ならないように並べる
- 冷凍庫へ入れ3時間程放置
- 凍ったらあさりをジップロックに入れる
- しっかりと空気を抜いて冷凍庫で保存
如何に素早く冷凍できるかがポイント。
もし金属製のトレーがなければアルミホイルで包んで器に載せて冷凍すれば多少はマシです。
またこうして冷凍したあさりは解凍して使うことは出来ないですし、調理する時も必ず一気に高温で調理しきってください。
それと言うのも当然冷凍したあさりは死んでしまうため、じっくり火を通しても殻が開きにくく、中にある水分とともに旨味が外に出てしまうからです。
その為酒蒸しや汁物を作るなら沸騰させた状態で冷凍したあさりを入れるようにしてください。
バター炒めや焼きあさりにするならば最初に強い直火などで貝を開けてからでなら調理することも可能ですが、どうしても肝心の身の味も食感も香りも相当劣化するのでおすすめできません。
そしてもうお分かりかもしれませんが、殻から出した身だけを調理するあさりご飯などには冷凍したあさりは当然殆ど使えません。
つまりあさりは冷凍した段階で殆ど「出汁の素」状態になるのだと思っていただけたら良いです。
以上が基本的な保存方法ごとの保存期間とそのコツです。
あさりは砂抜きしなければ長持ちする物なのか?
最初に砂抜きの所で少し触れましたが、砂抜きはあさりにかなりの負担を強いるのでした後は長持ちしません。
では砂抜きしなければ長持ちさせることはできるのかと言うと、実はその通りです。
感覚としてはお店の生簀に入って泳がされている魚と同じで、生きてさえいれば当然鮮度は落ちませんから長持ちすると言うわけですね。
しかし生かしておくのがあさりは非常に難しく、それこそ水槽で飼うように環境を整える必要があり、海水もかなりの頻度で交換する必要があるので海の近くでないとうまく出来ませんので、基本的に生かした状態で長持ちさせるのは無理だと思ってください。
スーパーで買ってくるあさりの特例
スーパーで手に入買うあさりと言うのはいくつかの異なる状態で販売されており、潮干狩りなどで採ってきたあさりとは長持ちさせる保存方法が変わる物がいくつかありますので最後にそれをご紹介します。
まず冷凍品。
これは特に気にすることなく買ってきたら冷凍庫で保存すればいいだけです。
正し死んでいるあさりであるため再冷凍は絶対に出来ません。
解凍しての調理も不可能で、必ず冷凍の状態で火を通さねばならないことにも注意してください。
続いて水に浸っていなく、直接パックしてあるあさり。
このあさりは実はほぼ死んでいる状態で、ギリギリ生きていると言うちょっと特殊な状態です。
その為環境変化であっさりと死にダメになってしまいますので、今の環境を出来るだけ変えることなく保存することがとても大事。
具体的には4℃以下の温度でパックを開封しないで保存することが必須です。
一度開けたり5℃以上の温度で放置すると数時間でダメになることもありますので注意してください。
最後に剥き身のあさり。
これに関しては例え火が入っていようと当日中に必ず食べてください。
あさりは内臓に当たる部分がかなりすぐダメになるので調理後も傷みやすく、余程保存料を使ってあるか、佃煮にでもなっていなければ持ちません。
そうでないあさりに関しては既にご紹介した通りの保存方法で保存可能ですので、そちらを参考にしてください。