イチジクは古くから食用とされてきた果物ですが、色々な果物がスーパーで簡単に手に入る今の世の中でも生のものはあまり見かけることのない果物です。
その理由はイチジクが生のままでは保存期間がとても短く、収穫後の保存方法として加工するのが当たり前に近いからで生のままでは長持ちしない果物であるからなのです。
しかし今でも栽培はされており、生のイチジクを物珍しさから買ってみたり、何らかの拍子に貰ったりすることもないとは言えませんでして、食べ方や保存などの扱い方に困る人もいないとは言い切れません。
そこで今回はほとんどの方がご存じないであろうイチジクの保存に関する常温、冷蔵庫、冷凍庫それぞれの環境で保存した場合の保存期間やそれぞれの環境下でのオススメの保存方法と、その他の乾燥させるなど加工をした状態での大体の保存期間とオススメの加工方法などについてご紹介する『イチジクの長持ち保存方法と保存期間!【常温・冷蔵・冷凍・乾燥】全て解説』と言う記事を書かせていただきました。
少々長めの記事になりますが、ほとんどの方がご存知でないであろう保存に関することをしっかりと解説させていただきますので是非御覧下さい。
イチジクの主な保存方法と保存期間
まずはイチジクの主な保存方法と保存期間を簡単にご紹介します。
- 常温で1日、最大でも2日
- 冷蔵庫で3日、最大でも5日
- 冷凍庫で最大1ヶ月
御覧のようにとにかく生の状態ではイチジクは長持ちさせることが出来ません。
その要因は乾燥に非常に弱いこと、最適保存温度が低めでその幅が狭いこと、実が弱いこと、酸化しやすいこと、食べごろの時期が短いことなど沢山あり、この全ての対策をするのは「料理が好きで毎日殆ど自炊をする」程度のご家庭でも少々無理なレベルです。
その為基本的にご家庭で生のイチジクが手に入った時、少しでも加工せず長持ちさせたいと言うのであれば冷凍1択と言っても良いぐらいです。
以上のことを踏まえた上でこの先の詳しいそれぞれの保管方法についてを御覧いただければと思います。
常温保存する場合
イチジクはすでに触れたように長持ちしない要素がたくさんありすぎて長持ちさせたいのであればそもそも常温保存は避けることをオススメします。
しかしそれでもどうしても常温保存したい場合、最低でも温度と乾燥対策だけはしておく必要があります。
まず最適保存温度は0℃から3℃であることに注意が必要。
6月から9月にかけて収穫される果物なのにも関わらずこの温度が最適と言う果実は結構珍しく、よほど冷房を聞かせているような部屋でないと半日ほどで悪くなることも十分ありますので出来るだけ涼しい部屋においておきましょう。
続いて最適湿度ですが90%~95%とこちらは逆にとても高いです。
この最適な湿度を守るために最低でもうっすらと湿らせたキッチンペーパーや新聞紙で包んでおくぐらいはしておいた方が良いです。
しかしこの温度と湿度を出来るだけイチジクの好む状態に整えようとも常温保存では長持ちしても2日が限度ですので出来れば当日中に食べきってしまうようにしてください。
冷蔵庫で保存する場合
最適保存温度の関係上、冷蔵庫でならば常温よりかはまだ長持ちさせることが出来ます。
しかしよほど新鮮な物でも長持ちして5日と言った所ですし、熟しきってしまってからは保存期間が長くなればなるほど基本イチジクは甘味を失っていきますので、冷蔵庫で保存したとしても3日以内には食べることをオススメします。
冷蔵庫で保存する上で気をつけて欲しいことは2つあります。
1つは乾燥対策。
冷蔵庫の中は相当乾燥しやすい空間になっておりまして、乾燥に弱い野菜や果物はヘタをすると常温以上に長持ちしないこともあります。
イチジクはそうした乾燥に弱い果物の中でもトップクラスに乾燥に弱いので乾燥対策は忘れてはいけません。
もう1つは他の物の下に入れないこと。
イチジクは触った感じからする以上に実が弱く、他の物を上に置いたりするとジワジワとその重さで細胞が潰れて凹みが出来、そこからダメになりやすいです。
当然押しつぶして入れたりするのも良くありませんので、冷蔵庫の容量に余裕を作った上で保存することをオススメします。
そして具体的な冷蔵庫で保存する場合のオススメの方法は以下の通り
- 新聞紙かキッチンペーパーをくしゃくしゃにして柔らかめに1つ1つ包む
- ビニール袋やポリ袋入れる
- 冷蔵庫で保存
実が弱いためクッションも兼ねて新聞紙やキッチンペーパーで包みますので、キッチリと包む必要はありません。
また果物は野菜室で保存することが多いかと思うのですが、野菜室の中は10℃前後とイチジクを保存するのにはまだ温度が高く、凍らないギリギリのチルドがあったりするならばそちらの方がオススメです。
そして袋に入れる際は空気は無理に抜く必要はありません。
折角作ったクッションの意味がなくなるからと、空気を抜こうとする時に変に圧がかかり潰れてしまうことを防ぐためです。
これだけ気をつけて保存すれば大体3日は安全ですが、やはり早く食べるにはこしたことはありませんので冷蔵庫で保存した場合もなるべく早く食べるつもりではいた方が良いです。
冷凍で保存する場合
一般の調理設備のご家庭で3日以上安全に加工せず保存しておきたいのならば、冷凍保存をするしかないです。
その冷凍してイチジクを保存する方法は以下の通り。
- イチジクの皮を剥き、食べやすい大きさにカット
- アルミホイルで包む
- ジップロックに入れる
- 冷凍庫で保存
イチジクを冷凍する時は単純に「剥いて切ってから冷凍する」と思っていただければ良いです。
アルミホイルで包むのは熱伝導効率の関係で出来るだけ早く凍らせることが出来るからなので「した方が良い」程度に思ってください。
食べるときは基本的に半解凍でシャーベットのように食べるのですが、冷蔵庫で1時間ぐらい置いて低温で解凍すれば完全解凍して食べることも可能です。
正し冷凍保存するのにも少し問題がありまして、味と歯ざわりが悪くなりますし、多くの水分を含んでいる食べ物であるだけあり、完全解凍するとその水分が出てしまうので見た目もぐしゃぐしゃになってしまい味も落ちるので、完全解凍して食べるのはあまりオススメできません。
とは言え一度冷凍した物が口に合わないと思った方はそれを煮てしまうなどそこから加工することもできますので、生の状態で食べられる機会が少ないのでとりあえずやってみるのも一つの手です。
以上がイチジクの基本的な保存についてのオススメの保存方法と大体の保存期間です。
では次にはその他のイチジクの保存についてをご紹介させていただきます。
乾燥させての保存について
昔からイチジクを長持ちさせる方法として使われてきた最もポピュラーな方法が乾燥させると言う方法。
所謂「ドライフィグ」と呼ばれるこの乾燥させたイチジクは大体ご家庭でうまく作れた場合の物だと冷蔵庫で保存して10日ぐらいは長持ちします。
オススメのやり方は以下の通り
- 120℃に温めたオーブンで1時間ほど加熱
- その後裏返して30分ほど更に加熱
- 常温で粗熱をとる
- 粗熱が取れたらジップロックの中に乾燥剤と一緒に入れる
- 出来るだけ空気を抜いて冷蔵庫で保存
乾燥した時期であればザルやネットの上で5日ぐらい天日干ししておけば同じように作ることも出来るのですが、生のイチジクが手に入るような時期の日本は結構湿度が高い時期であることが多く、乾燥しきる前にダメになることがありますのでこの方法がオススメです。
ジャムにしての保存について
日本ではそこまでポピュラーではないものの、イチジクはペクチンを多く含む果物なのでイチゴと同じぐらい簡単にジャムにすることが出来、保存期間も冷蔵庫で大体2週間、冷凍すれば2ヶ月ぐらい持たせる事が出来るのでジャムにするのもオススメの長持ちさせる保存方法です。
そんなイチジクをジャムで保存する方法でオススメなのは以下の方法。
- イチジク5・6個に対して半分より少し少ないぐらいのグラム数の砂糖、レモン汁大さじ1杯を用意する
- やや厚めにイチジクの皮を剥き、乱切りでやや小さめの大きさに切る
- 耐熱容器にイチジクと砂糖を入れ、ラップをして500wで7分加熱
- 浮いてきたアクを掬い取りイチジクを軽く潰す
- 更にラップをして500wで5分加熱
- 好みに合わせて実を潰し混ぜ、ラップをして500wでもう5分加熱
- レモン汁を入れ、掻き混ぜ粗熱をとる
(イチジクがまだ固い、あるいはややジャムがゆるいように感じたら追加でもう数分加熱してください) - 保存用の瓶やしっかりと空気が入らないように密閉できる容器に入れる
基本的にはイチゴジャムを作る時と殆ど同じです。
材料に関してですが砂糖もレモン汁もそれぞれあくまでも基本的な量ですのでお好みに合わせて調整してください。
またジャムの「ゆるさ」に関してですが、冷やした時に多少固くはなりますので「好みよりもややゆるいかも」ぐらいで冷やし始めると丁度良くなるので参考にしてみて下さい。
どうなったら悪くなっているのか?
最後にどうなった悪くなっているのかをご紹介します。
悪くなったことが分かるポイント
- 果肉がブヨブヨで水分が出ている
- 皮から内部まで変色している
- 甘い臭いに混じって酸味を感じる臭いも感じる
- 苦味と酸味を強く感じる
「果肉がブヨブヨで水分が出ている」状態がギリギリで、この段階は「熟しすぎている」または「腐り始めている」状態なので直ぐに食べきってしまった方が良いです。
「皮から内部まで変色している」とか「甘い臭いに混じって酸味も感じる」場合はもうかなり危険であり、ダメになってしまっている典型的な状態ですのでこれらの以上がある場合はもう食べないほうが良く、「苦味と酸味を強く感じる」レベルになってしまったら絶対に食べないようにしてください。