【管理栄養士監修】タラの芽の栄養と毒性について!天ぷらなど美味しい食べ方をご紹介

栄養豊富なタラの芽と言う食べ物をご存知でしょうか?

日本人なら山菜であることやその名前ぐらいは聞いたことがあると言う人も多いタラの芽ですが、実際に食べたことがない人も今では少なくなく、ましてやどんな栄養がありどんな効果効能があるのかを知らない人も多いでしょう。

また中には逆に健康に悪いと聞いたことがある人もいるでしょうし、毒があると言う間違った話を聞いたことがある人もいることでしょう。

そのぐらいタラの芽と言うのは思ったよりもマイナーで正しいことを知らない人も多く、生のタラの芽を調理する時のコツや下拵えの方法を知らない人もいるでしょうし、タラの芽の味や栄養と言った特色を失わずに食べられる料理は天ぷらぐらいしか知らないと言う人もいることでしょう。

そこで今回はそんな今ではややマイナーな食べ物となってしまった「山菜の王様」とも言われるタラの芽についての「一体どんな食べ物なのか?」から「含んでいる栄養や効果効能」、「毒性について」や「天ぷら以外の食べ方」などについてをご紹介させていただく『タラの芽の栄養と毒性について!天ぷらなど美味しい食べ方をご紹介』と言う記事を書かせていただきました。

春を告げる旬の食材タラの芽について興味はございませんでしょうか?

タラの芽とは?

タラの芽がそもそもどんなものなのかを知らない人も今では多いと思いますので、まずはそもそもタラの芽とはどんな食べ物なのかをご紹介させていただきます。

最も簡潔に説明しますとタラの芽とはウコギ科タラノキ属のタラノキの新芽である山菜の一つです。

実は意外と知らない人も多いのですが「タラの芽」と一口に言っても実は2種類ありまして、ノダラまたはオダラと言われる幹や枝の表面に鋭いトゲがある種類のものと、メダラやリュウキュウタラノキと言ったトゲの無い種類のものでは同じタラの芽でも風味や味で大きな違いがあるとされています。

ノダラまたはオダラの新芽の方がよりタラの芽らしい苦味や風味が強い反面で癖やえぐみも強く、メダラやリュウキュウタラノキの新芽の方は癖やえぐみが少なく食べやすい反面でタラの芽らしさは薄いとされており、どっちが良いかは個人の好みによります。

タラの芽の味の特徴としましては独特の苦みとホクホクした食感、そして濃厚なコクが特徴であり、山菜の中でも先述したように「山菜の王様」とも言われる山菜でして、それぞれ独特の苦味や癖が強い山菜の仲間の中でも比較的食べやすく、天ぷらにして食べることで有名です。

しかしそんな味の特徴よりも山菜の中でも知名度が高い一番の理由は旬の時期が桜の花が咲くぐらいとほぼ同じであること。

旬の時期が時期なので、春と桜が大好きな日本人の多くの人から春を告げる食べ物として「特に好きではないけれども季節ものだから食べたい」とか「この時期しか食べられないからせっかくなので」と言う理由から食べられることも多く、山菜が全般的に食べられなくなった日本でも未だにその知名度は高く、天然物以外にも栽培されたものも実は結構あります。

近年では天然物よりも栽培物の方が「風味は劣るがエグ味が少なく、見た目が良い」として敢えて使われることも少なくないようです。もちろん天然物のタラの芽は風味以外にも天然物の良さがあり、例えば天ぷらにした時に天然物は冷めても歯ごたえがしっかりしているが、栽培物のタラの芽は冷めるとしぼんでしまうと言った特徴から天然物が好まれることの方が多いようですが。

またタラの芽は所謂「春野菜」の一つとされている食材でもありますが、生薬の原料としても古くから使われており、健胃・整腸と言った胃腸薬、リウマチや痛風などの関節痛や神経痛の軽減、滋養強壮作用などの効能があるとされていて、科学的な成分分析で健康に良いと言われる遥か前から体に良いものとして知られていました。

そして実際、近年では含まれている栄養成分からも確かにタラの芽は健康に良いものであると言うことも言われています。

タラの芽の栄養と効果効能

タラの芽は古くから体に良いものとされていて、科学的に成分を研究した結果でもそれは正しいことであるとされています。

具体的にタラの芽にはどんな栄養があるのかと言いますと以下の通り。

  • ビタミンA
  • ビタミンE
  • ビタミンK
  • ビタミンB1
  • ビタミンB2
  • ビタミンC
  • ナイアシン
  • 葉酸
  • ビオチン
  • カリウム
  • カルシウム
  • マグネシウム
  • リン
  • 鉄分

ご覧のように植物にとってとても重要な新芽の部分であるだけあり、ビタミン・ミネラルともに種類が豊富で更にそれぞれの量も少なくないです。

これらの栄養成分の中でもタラの芽で注目したいものとしては、かなり多く含まれているビタミンK葉酸、野菜類の中ではトップクラスに豊富であるビタミンB1、カリウム、そしてバランス良く含まれている食物繊維と言ったところ。

これらに加えて更に抗酸化作用が高いことで有名なビタミンEやビタミンC、代謝にかかわるビタミンB群なども含まれていることからタラの芽には以下のような効果効能があるとされています。

  • 血流や血液の健康化
  • デトックス作用
  • 疲労回復・滋養強壮効果
  • 腸内環境の正常化
  • ダイエット効果
  • 生活習慣病の予防・改善
  • アンチエイジング効果

これらの効果の他にも葉酸が豊富であることから妊娠・授乳中の方にもおすすめであるとされていたり、アルコールの吸収抑制作用、胃の粘膜や肝臓の保護作用もあると言うことが言われており、タラの芽は非常に美容と健康に良いと言うことが言われています。

タラの芽には毒性がある?

これまでタラの芽の良いところについてをご紹介させていただきましたが、その一方で「タラの芽には毒がある」とか「健康に悪い」と言った話を聞いたことがある人もいるかと思います。

これ本当なのかと言いますと、まずタラの芽に毒はありません

では何故毒があると言う話があるのかと言いますと、タラの芽は強烈なアレルギー反応でかぶれを引き起こす「ウルシ」の新芽に良く似ており、ウルシを「毒タラ」と呼んでいたからです。

その為「タラの芽も種類によっては毒がある?」から「タラの芽には毒性もある」とか一部では「あの苦いのが毒?」と言う話になり、タラの芽には毒があると言う話が出てきたようです。

もちろん見た目は確かに似ているのですがウルシとタラノキは違う植物ですから、タラノキでかぶれたりもタラの芽でかぶれることもありません。

では体に悪いと言う話はどうなのかと言いますと、それもほとんどあり得ないと言えます。

もちろんどんなものでも食べ過ぎれば害になるものですから、よほどたくさん食べればタラの芽の苦味やえぐみの成分のせいで吐き気を催したり、胃腸の調子が悪く感じることもあるかと思いますが、タラの芽の食べごろである3~5cmよりもかなり大きく育ちすぎているものを食べたり、鮮度が良くなくアクが全然抜け切れていないものを食べでもしないとこれもまずありえません。

食べたことがこれまでなかった方が食べる時にはこうした食べ過ぎや食べるのに適していないタラの芽を食べて調子を崩してしまうことはないとは言えません。タラの芽の食べ過ぎや食べるのにあまり適していないものを判断するポイントはやはり舌で感じ取れる苦味やエグ味ですから、「あまり美味しくない」と感じる段階で無理して食べないことをオススメします。

買ってきたら出来るだけ早く食べる、山菜取りに行くならちゃんとプロや経験者と一緒に行くことだけ忘れなければタラの芽には危険性はありませんので安心して食べてください。

タラの芽の下処理と天ぷら以外の調理方法

最後にタラの芽を実際に食べる時についてのことをご紹介させていただきます。

まず多くの人が実際に食べてみようと思った時困ったり、失敗してしまう下処理についてです。

新鮮なタラの芽はアク抜きせずとも食べられるのですが、最低でもタラの芽の根元の部分の硬い場所、根元に当たる部分の「ハカマ」の部分は切り取りましょう

天ぷらや炒め物などの高温処理をするのでしたら水洗いとこの処理だけで十分です。

また大きく育ちすぎたり鮮度があまり良くないものについては料理によって根元の部分に切り込みを入れ、下茹でしてアク抜きをしたりする必要もありますが、アク抜きをしようとする時にも注意が一つ。

それはアク抜きし過ぎないことです。

茹で過ぎてしまえばタラの芽のせっかくの食感は失われてしまいますし、山菜の苦味やエグ味の原因であるアクは体に良い栄養でもあり、山菜のコクや風味の素であるためにアク抜きをしすぎた山菜は美味しくなく、体に特別良いものでもなくなってしまいます。

するにしてもアク抜きは「水1Lに対して塩20gのお湯を沸騰させ、そこに2分入れ、その後水に1分さらす」で十分すぎるほどですので、あまり時間をかけすぎたり下処理中に離れないようにすることをおすすめします。

天ぷら以外の食べ方としては「おひたし」や「揚げ出し」などは聞いたことがあるかと思いますが、これ以外にもタラの芽の風味を生かすなら「混ぜご飯」や「和え物」もおすすめ。

ちょっと変わった食べ方をしたい方にはマヨネーズやごま油などの油や豚肉、特にバラや肩ロースとの相性が良いので、「ツナマヨネーズ和え」や「マカロニサラダの具」としてや「肉巻き」、「ベーコン炒め」などもおすすめ

高温調理ならばアク抜きも不要でイメージとしては苦くてコクのあるアスパラだと思って使えば、思ったよりも簡単に使える食材ですので、天ぷらやおひたしと言った定番以外の料理にもぜひ挑戦してみて欲しいと思います。

スポンサーリンク
スポンサーリンク

逆引き検索