トマト缶が実は危険だという話を聞いたことはありませんか?
今の世の中本当に色々な食べ物や飲み物が「実は危険なものだ」、「本当はこんな副作用がある」なんて言葉とともに科学的な根拠のありそうなものから、とんでもないこじ付けや過大解釈までの様々な理由で危険だと言われているわけですが、そんな嘘か本当か分からない危険なものリストの中にトマト缶も名を連ねているのです。
トマト缶は生のトマトよりも非常に安く、長期保存できて尚且つ料理に使いやすいため、常備していると言うご家庭もあるでしょうし、安い時にはつい大量に買い込んでしまう方もいるでしょうから、食べるものに特に気を使う小さなお子さまがいる方や妊娠中の方などは特にこのことにショックを受ける人も多いでしょう。
ですが、ショックを受けた方の多くは「じゃあ食べるのを止めよう」と直ぐに思うかと言うとそれはないでしょう。
むしろ本当にトマト缶は危険なものなのか?
もし危険だと言うことが本当だとしても、どんな理由から危険だとされていて、どれほど危険なのか?
紙パックのものなら大丈夫なのか?生のトマトも危険なのか?
逆に嘘ならば、どうしてそんな嘘が流れたのか?
などトマト缶が危険と言う話を否定して、安心してトマト缶が食べたいと思うことでしょう。
そこで今回はそんなトマト缶が危険と言う話についてのトマト缶が危険と言われ始めた理由から実際の所どれほど危険なものなのか、更には妊娠中の方が食べても平気なものなのかなどのことまでをご紹介する『トマト缶が危険と言われている理由とは?』と言う記事を書かせていただきました。
トマト缶が危険と言われている理由に興味があったりしませんか?
トマト缶が危険と言われ始めた理由
最初にまず何故トマト缶が危険だという話が出てきたのかについてご紹介させていただきます。
調べてみますとその理由は2つありました。
1つ目はトマトの酸の影響で缶の加工に使われている『ビスフェノールA(BPA)』と言う腐食・金属の溶出を防止する成分が溶け出す可能性があるので危険というもの。
このビスフェノールA(BPA)と言う成分はプラスチック(ポリカーボネート樹脂やエポキシ樹脂等)の原料になる化学物質でして、きわめて微量でも動物の胎児等に影響が生じることがあるという研究結果があり、妊娠中の方や乳幼児のいる方は特に注意すべきものと言われています。
一応このビスフェノールA(BPA)は、毎日摂取しても健康に影響は受けないとされる基準値である「耐容一日摂取量」が、体重1kg当たり0.05mgとされているそうなのですが、具体的な毒性や発がん性については未だ研究中とされているため、この基準値をどこまであてにして良いものかも正直疑問です。
そんな物質がトマト缶の缶詰の内側のコーティングに使われていて、更にそれが缶の中身に溶け出してしまいやすいから、トマト缶は危険であるという話が出てきたようです。
もう1つの理由として見つかったのは、缶詰加工する際に主原料についてを細かく明記しなくても良いルールがあるために、缶詰になる前のトマトにどんなものが使われているのか分からないから危険と言う話でした。
この話の始まりは、イタリア国内では売ることが出来ない中国産のトマトを使った製品を、イタリアで缶詰加工することにより「イタリア産のトマト缶」にして国外に販売している実態があると言うことが知られたことです。
別に産地の表示をこうして一旦加工することによって変えると言うのはトマト缶に限った話でなく、色々なもので行われていることではあるのですが、トマト缶の場合は最悪のケースですと「中国産の濃縮トマトの缶詰に添加物を加えたり、水で薄めて再度缶詰にする」と言うちょっと食べても大丈夫なのか心配な加工がされていると言う事から、トマト缶は危険であるという話が出てきたようです。
実際どれぐらい危険なのか?
トマト缶が危険と言う話にはどうやらちゃんとした理由があるようだ、と言う事が分かった所で続いては、では実際の所どれほど危険なものなのかと言うことをご紹介させていただきます。
まずビスフェノールAによる健康被害などの危険についてですが、日本の食の安全を管理している厚生労働省食品安全部基準審査課は上記した通りの「耐容一日摂取量」であるならば問題はないと言う見解を変えてはいません。
そして実際の海外製造されているトマト缶中身に流れ出てしまうビスフェノールAの量は、調査の結果0.023~0.029ppmの範囲であり、計算上「1日に100缶以上のトマト缶を食べると危険」と言う結果になるので、殆ど危険はないと言えるとしています。
むしろトマトの酸が問題だと言う話から「トマト缶こそビスフェノールAを含む食品の代名詞」のような見方をされることもあるのですが、実際の缶に使ったビスフェノールAが中身に流れ出てしまっている量は、肉や魚介の缶詰の方が多い傾向があり、ツナ缶類などですと0.036~0.051ppmも流れ出ているものがあるそうです。
大手の製造業社や輸入業社もこの見解と同じような回答をしており、トマト缶が危険だと言うのは嘘だと主張しています。
しかし厚生労働省は、あくまでもビスフェノールAは現在もまだその毒性や発がん性について研究中のものであり、ビスフェノールAを無毒化する能力が低い上に体が発達途上で影響を受けやすい胎児や乳幼児については少量でも注意が必要だともしています。
その為大人の方が食べる分には特に問題ないのですが、小さなお子さまや妊娠中の方は出来れば避けた方が良い可能性はあるのです。
とは言えあくまでもこれに関しては缶に問題があると言う話ですから、多少値段は高くなりますし、保存可能期間も短くはなりますが、缶ではなく瓶詰めや紙パックの物を買うなどで対処することが可能です。
ですがもう1つの「缶詰になる前のトマトにどんなものが使われているのか分からないことが問題」と言う話の場合で考えると、瓶詰めや紙パックの物を買えば良いと言う話ではすみません。
何せ問題なのは「加工された食品の場合、加工される前の原料についての情報は特に表示しなくても良い」と言う部分ですから、トマトの加工食品全て同じ危険性があると言うことになるからです。
しかしこの問題に関して言うのであれば、その危険性はトマト缶に限ったことではなく、どのような加工食品であれ、食べる時に絶対について回る可能性の話ですから、敢えてトマト缶が危険と言うこと自体が正しくない表現であると言えます。
その為トマト缶「だから」危険と言うわけではなく、加工食品の一種であるためトマト缶「も」どんなトマトが原料なのか分からないというリスクがあると考えるのが正しいでしょう。
こうしたことからトマト缶が危険と言う話は嘘ではないようなのですが、敢えて名指しで危険だと指摘するほど危険なものではないと言えます。
とは言えもちろん小さなお子さまや妊娠中の方は出来れば食べるのを避けた方が良いぐらいのものではありますので、小さなお子さまがお家にいる方や妊娠中の方は少しトマト缶を使うのは控えることをおすすめします。
何故敢えてトマト缶が危険と言う話が出てきたのか?
先程ご紹介したようにトマト缶が危険と言う話は確かに嘘とは言えませんが、それでも敢えて「トマト缶が」と言うほど特別危険とは言いがたいです。
ではどうして敢えてトマト缶が危険なものとして標的に上げられたのかと言うと、安いトマト缶は元を辿ると中国産の濃縮トマトに添加物(デンプン、食物繊維、デキストロース、着色料など)を加え、かさ増しして作られているものが多数あると言う話が絡んできているようです。
もちろん添加物が使ってあるからとは言え、添加物全てが全て体に悪いと言うわけではありませんし、濃縮トマトを使っていること事態が悪いことでもありません。
問題はこれが沢山作られてそれが普通になっている所。
まずそうして作られた安いトマト缶を食べる機会が増えれば当然日常的に摂取する添加物が多くなり、健康に影響も出ることでしょう。
そしてそのトマト缶がスタンダードとなると、オーガニックな商品や品質重視のトマト缶を作っている所が割を食ってしまいます。
具体的にはトマト缶は安いものと言う概念に押され、どうしても相応の価値ある高い商品も価格を抑えなくてはいけなくなり、やっていけなくなる所も実際出ているそうですし、安いところはより原価を下げるため、材料を安く上げることはもちろんのこと、それ以上に人件費や加工工場の設備などの低価格化を進めている所もあるのだそうです。
これに伴い、トマト缶と言う種類の食べ物自体の品質の低下を起こすと言う話もありますし、安ければ良い思考が強くなることで法に触れるか触れないかギリギリのラインで生産している所も出てきているそうです。
当初の頃は実はこうした理由までが添えられて「どういうトマト缶が危険」と言う話であったものが、インパクトのある「トマト缶は危険」の部分だけ抜き出されるようになり、いつの間にか「トマト缶は全部危険」と言う風潮になってしまった。
少し調べてみると真相はこんな感じのことのようですので、トマト缶全てを過剰に危険視する必要はあまり高くはないと思います。
まとめ
今回の記事の結論としましては、簡潔にまとめますと以下の通り。
- トマト缶が危険とされる理由は2つある
- トマト缶に限ったことではなく、缶詰にはビスフェノールAと言う物質が中身に流れ込んでいる危険があるので、小さなお子さまや妊娠中の方は出来れば避けた方が良い
- 安いトマト缶の中には大量の添加物を使っていたり、あまり良くない製造過程や業者によって作られている可能性があるためリスクが高い
以上です。