全粒粉とはどんなものかをご存知ですか?
小麦粉製品はカロリーが高く、ビタミンやミネラルなどの栄養を摂取できないため、パンやパスタはご飯よりも実はあまり健康に良くない。
更には腹持ちも余り良くなく、クッキーや菓子パンなどに至っては糖質、脂質も非常に高く美容や健康をむしろ害する。
こんな風に日本で「小麦粉があまり良くないもの」であるように言われてからだいぶ立ちますが、全粒粉はそんな小麦粉の一種でありながら美容と健康に良い効果をもたらせる特徴があるとして、日本でもそこそこ使われるようになり始めました。
しかし名前ぐらいは聞いたことがある方は居ても、具体的にどんな栄養や効果の違いが小麦粉とあるのかや、アレルギーや特殊な病気の症状を起こす原因となることもあるグルテン含有量の違いなどについて知っている人は多くないでしょうし、全粒粉と小麦粉の味や臭いの違い、どんな料理にでも小麦粉の代用として使えるのかを知っている人も少ないでしょう。
そこで今回はそんな名前もまだ知らない人がいるぐらいの全粒粉についてのどんな物でどんな栄養や効能があるのかをはじめ、グルテン含有量についてやどんな料理に使えるのかなどについてまでをご紹介させていただく『全粒粉とは?栄養や効果や小麦粉との違いについて』と言う記事を書かせていただきました。
小麦粉の中でも特別健康効果が高いとされている全粒粉について興味があったりはしませんか?
全粒粉とは?
まず始めにそもそも全粒粉とはどんな物なのかをご紹介させていただきます。
最も簡潔に申しますと全粒粉とは小麦の表皮、胚芽、胚乳をすべて粉にして作った小麦粉のこと。
一般的な小麦粉にする時には取り除いてしまうような部位までも使うため、小麦粉では摂取できないような栄養が含まれており、そのことから健康効果は小麦粉よりも高いとされています。
しかしその反面その取り除いてしまうような部位までも使うため見た目が茶色っぽくなってしまいますし、味や香りを比べますと正直な所小麦粉よりもあまり良くなく、小麦そのものの味わいが味わえると言えば聞こえは良いのですが、旨味というよりも雑味が、匂いと言うよりも臭いが気になる方は多いと思います。
その他にも胚芽油などの影響で脂肪分が多く普通の小麦粉に比べると劣化が激しいので長期保存に向いていなかったり、同じく油分の多さの影響で「グルテン」の形成が良くないためグルテン含有量が少なく、小麦粉に比べ粘り気がある故の特性である、完成品の弾性や柔軟性、膨らみでは一歩劣ります。
その為基本的には全粒粉はパンやクッキーでも小麦粉の一部をこれに置き換えて使うのがスタンダードですし、パスタなどに至ってはより少量の置き換えでないとまず使えません。
また類似のもので「グラハム粉」と言う非常に全粒粉と良く似た同じように扱われている小麦粉もあります。
大体同じものとして扱われているのですが、こちらは小麦を丸ごと粉にするのではなく表皮、胚芽を一旦取り除き、胚乳だけを「普通の小麦粉」と同じように細かく挽き、表皮や胚芽は粗く挽いて混ぜ合わせ作られるため、粗挽き特有のつぶつぶ感やちょっとした噛み応えがあり、混ぜ物が少ないパンやクッキーなどはまた少し違った仕上がりになりますので、料理に使う方は覚えて置いて欲しいです。
小麦粉・全粒粉・小麦ふすまの違い
小麦から作る粉として全粒粉の他にも小麦粉と同じように使えて健康に良い「小麦ふすま」と言うものも最近では登場してきており、こちらではこの3つのそれぞれの違いとその関係性をご紹介させていただきます。
一番簡単に言うと小麦の胚乳だけを粉にしたものが「普通の小麦粉」、表皮や胚芽だけを粉にしたものが「小麦ふすま」、そしてその全部をまとめて粉にしてあるのが「全粒粉」でして、お米に置き換えて言いますと「白米」が「小麦粉」、「玄米」が「全粒粉」、「ぬか」が「小麦ふすま」に相当します。
その為それぞれの特徴を簡潔にまとめますと以下のようなことが言えます。
味の美味しさ・香りの良さ・グルテン含有量
- 小麦粉
- 全粒粉
- 小麦ふすま
炭水化物以外の栄養素含有量・カロリーの低さ
- 小麦ふすま
- 全粒粉
- 小麦粉
麦本来が持つ旨味や風味の強さ
- 全粒粉
- 小麦ふすま
- 小麦粉
以上のことから単純な話料理への使いやすさや美味しさとしてはダントツ小麦粉が優秀です。
小麦特有の成分である「グルテン」の持つ特性である強い粘りを利用した料理も数多く、料理によっては全粒粉や小麦ふすまでは代用が効かないものもありますし、小麦粉で作る料理こそがスタンダードなものとなっているため、見た目もかなり茶色っぽくなり、匂いや食感での違和感を強く感じる人も少なくはないでしょう。
その為市販の商品では全粒粉使用と書いてあるものでも基本的には、本来使う量の小麦粉の多くとも20%を置き換えて使う程度なのがスタンダードです。
しかし美容と健康への効果効能なども考慮して考えると、小麦の全てを使う全粒粉の方が優秀であるとも言えるのです。
より具体的にどんな栄養成分が含まれており、どんな効果があるのかと言いますと次のことが言えます。
全粒粉の栄養と効果効能
小麦粉よりも多くの栄養が含まれていると言われる全粒粉には以下のような栄養素含まれております。
- 食物繊維
- 鉄
- カリウム
- リン
- マグネシウム
- カルシウム
- 亜鉛
- ビタミンB1
- ビタミンB2
- ビタミンE
御覧のようにミネラルやビタミンが豊富であり、その中でも食物繊維と鉄分が多いのがポイントです。
そして全粒粉のカロリーは平均約350Kcalであり、糖質量は平均約57gと小麦粉の100gで370kcal、糖質量75gよりも低めな所も嬉しい所。
また食物繊維が多い分「GI値が低い」ですから、小麦粉に比べ糖質はともかくカロリーはそこまで低くはありませんが、食後の血糖値の上昇度合いが緩やかで、消化・分解に時間がかかり、腹持ちが良いということも言えます。
その他の効果・効能としましては以下のような効果・効能もあります。
- ダイエット効果
- 生活習慣病の予防・改善
- 腸内環境改善
- 免疫力の向上
- 美肌効果
これらの効果効能の中でも全粒粉が特に注目されたのはダイエット効果と腸内環境改善効果の高さです。
ダイエット効果で言いますとこれまで挙げて来た様な低糖質低GI値に加え、特徴に加え更に噛み応えの強さや体内に入ってから水分を吸収し嵩がかなり増すことでの少量でも満腹感を得られることが有名です。
また食物繊維が多い食べ物については必ずと言っても良いほど言われる腸内環境改善効果もありますし、鉄分やカリウムなどをはじめ健康な血液の維持に必要な成分や代謝に必要なビタミンB群などを含んでいることが良く言われており、当たり前のように良く食べる主食だからこそ小麦粉の一部だけでも全粒粉に置き換えることで効果が得られるとされています。
全粒粉についての注意
小麦粉よりも健康に良いと言われている全粒粉ですが、その「健康に良い物」と言うイメージが強すぎて誤解されていることもあります。
例えばグルテン含有量が0ではないため、アレルギーをお持ちの方やグルテンフリーダイエットをしたい方は覚えておいて欲しいです。
小麦全てを粉にしているため小麦粉よりもグルテンの量が少なくはありますが、小麦粉に使う成分だってそのまま粉にしているわけですから当然と言えば当然なのですが、小麦ふすまと同一視されてしまったのか、低グルテンの拡大解釈なのか、そこそこ「グルテンフリーな全粒粉」と言う感じの情報を見受けますが、そんなことはありえません。
また決して低糖質低カロリーではない所も忘れないで欲しい所。
ダイエットに効果のあるものと言いますとどうしても低糖質低カロリーなイメージがあるかと思いますが、既にご紹介したように「小麦粉に比べれば」低糖質低カロリーなのですが、食べ物全般で見ればむしろ高い方です。
また良くレシピなどでは必ず書いてありますが、手作り料理を作る時には全粒粉はまずは小麦粉の多くて20%を置き換えるぐらいでないと美味しく食べることが出来ない事も覚えておいて欲しいです。
クッキーなどは「食感が変わっているがまぁこれも味わい」ぐらいで済みますが、パンなどのふくらみや香りが味の重要な要素となるものでは完成品が別物になります。
またあくまでも全粒粉から摂取できる栄養は「主食として良く食べるから違いが出る」程度のものであるため、健康効果を実感するにはかなりの頻度で摂取する必要がありますし、使う頻度が高くともバターや砂糖などを大量に使うと美容や健康への効果はむしろマイナスになってしまいますのでここにも注意です。
全粒粉のおすすめの使い方
最後に全粒粉のおすすめの使い方についてをご紹介させていただきます。
基本的にはパンやクッキーなど小麦粉を主成分としてそこそこ以上に使い、焼き上げて作る料理の小麦粉の最大でも40%までを置き換えて使うのがオススメです。
小麦粉の料理への用途はとても広いのですが、同じ原料由来の代用が効く全粒粉の量を調整すればどれにでも使えると言うほど全粒粉は万能ではなく、これ以外の料理には「使うと違和感が強い」か「全く違う料理になってしまう」ことも少なくはないです。
その為全粒粉をこれから購入をお考えの方は全粒粉は小麦粉よりも劣化が激しいため「小麦粉を常備しつつ料理によってはそれに混ぜて使う」つもりでないと買い過ぎてしまうこともありますし、無理して沢山一度で使えば美味しく食べられないこともかなり出てきます。
もう少し踏み込んで解説しますと、実は全粒粉の粗さや原料とする小麦の違いでパンやシリアルなどの主食用と、クッキーやスコーン、マフィンなどのお菓子用に分けることが出来まして、本当に美味しいものを作るつもりなら商品ごとの特徴を把握して使う必要があります。
もちろん細かい好みの違いがありますし、あくまでもおすすめの使い方なだけですから絶対ではありませんが、もし始めて使ってみようと言う時は参考にしてみて欲しいと思います。